新型通勤車両「5000形」

小田急電鉄は2020年度、総額265億円の鉄道事業設備投資を実施する。

設備投資計画の内容は、5000形車両の増備や特急ロマンスカー・EXE(30000形)および1000形通勤車両のリニューアル、駅舎改良、ホームドアの設置・法面改修など安全面への投資、ロマンスカーミュージアムの建設など。

車両増備・リニューアル

2020年3月にデビューした新型通勤車両「5000形」を4編成追加増備する。もともと2020年度末までに5編成を増備する予定であったが、「新型コロナウイルスの影響もあり計画に見直しが入った」(小田急電鉄広報部)ため増備本数に変更が生じた。

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特急ロマンスカー・EXE(30000形)は1編成をEXEαにリニューアルし、5月に運行を開始している。木目調の内装、直接・間接照明によるくつろぎの空間演出、大きな荷物を収納できるラゲッジスペース、多機能トイレなど様々な利用者のニーズに合致したサービスを実現。制御装置の更新などによる省エネルギー化や床下機器の低騒音化など環境面にも配慮した。

通勤型車両である1000形は1編成(4両)をリニューアルし、車いすスペースを設ける。車内LCD表示器や自動放送装置などを設置し、安心・快適に利用出来る環境を整える。EXEα同様制御装置の更新なども行う。

参宮橋駅・片瀬江ノ島駅のリニューアル

参宮橋駅は2020年9月のリニューアル完了に向けて改良工事を推進、『木と緑に溶け込む「杜」の玄関口』をコンセプトに駅周辺環境との共生を図る。本年1月時点で全面リニューアルした駅舎・お客様トイレの供用は開始されており、本年度は明治神宮へのアクセスに便利な新改札口の設置、木の質感が感じられるデザインへの改良(ホーム)が予定されている。

片瀬江ノ島駅は2020年2月より竜宮造りによる本格的な新駅舎の一部供用が始まり、つい先日の7月30日には駅舎のリニューアルが完了した。本年度は駅事務室や窓口、通路の夜間ライトアップ照明工事を実施し、来場者の目を楽しませる。

下北沢駅・登戸駅の1・2番ホームにホームドアを整備

小田急電鉄は1日の利用者数10万人以上の駅へ優先的にホームドアを設置し、更なる安全性の向上を図る。本年度は下北沢駅、登戸駅1・2番ホームへのホームドア設置・使用開始を予定している。新百合ヶ丘駅・藤沢駅も1日の利用者数が10万人を越えるが、両駅については駅舎の大規模改良工事を予定しており、ホームドアの整備もこれにあわせる。

なお、新百合ヶ丘駅の工事について小田急電鉄からリリース等で発表したのは今回が初めて。横浜市営地下鉄ブルーラインの「あざみ野~新百合ヶ丘」延伸計画をにらんだものだが、同社広報部によればまだ概略等は固まっておらず、今後の旅客誘導の規模なども加味して計画を進めるという。

その他、安全面では愛甲石田―伊勢原間、東海大学前―秦野間の法面改修を進め、本年度から新たに多摩線で法面に関する健全度の確認などを実施する。踏切へは昨年に引き続き3次元での物体検知が可能なレーザレーダ方式を採用した踏切障害物検知装置の設置を進める。

ロマンスカーミュージアムは2021年春

小田急線海老名駅の隣接地では、「“子ども”も“大人”も楽しめる鉄道ミュージアム」をコンセプトとした、小田急の歴史を後世に伝える「ロマンスカーミュージアム」の建設も進んでいる。本年度は2021年春開業に向け、建築工事や館内コンテンツの制作を進める。

鉄道チャンネル編集部