東武の鋼製車で国鉄103系と同じ時代を走ってきた8000系。103系はJR関東圏から消えても、東武の8000系は活躍の場をせばめながらも、元気に走っている。

その東武8000系の後継として、オールステンレス製で登場したのが、東武9000系。東急車輛製造・アルナ工機・富士重工業の3メーカーで1981年からつくられた、東上線と東京メトロ(営団地下鉄)有楽町線の相互直通むけ電車。

地下鉄乗り入れ対応の顔、左右非対称に貫通扉つき。自動界磁制御方式の主回路チョッパ装置を採用し、いまでは「副都心線系統唯一のチョッパ制御車」などともいわれる存在。

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この、東武東上線だけにいる9000系が、2020年後半から新しい動きで注目されている。

東武線は、浅草起点の伊勢崎線系統と、池袋を起点とする東上線系統に大きく分けられる。

そのルーツや歴史、成り立ちについてはまた別で記すとして、この東上線系統と伊勢崎線系統の電車は、それぞれの幹線沿いにある工場に入場し、検査・整備を受けて、再び営業運転についていた。

それが、昨年から変わってきた。

東上線専用機ともいえる9000系が昨年、初めて伊勢崎線系統の線路に乗り入れた。

ここでまず、埼玉県の西を行く東上線の電車が、東の伊勢崎線にどうやって乗り入れるか。東武線の線路でつながってない両線だから、他社の線路を伝って行き来する。

伊勢崎線も東上線も、都心側で東京メトロの線路とつながってるから、都心の地下鉄を介して東上線・伊勢崎線を行き来すると思いきや、その逆側、遠く埼玉のローカル鉄道を伝って両線を行き来する。

埼玉県北を東西に結ぶ、蒸気機関車列車 SLパレオエクスプレス が走る、あの秩父鉄道。

秩父鉄道 秩父本線と東武東上線が寄居で、伊勢崎線が羽生でつながってる。

この秩父鉄道 秩父本線の線路を、秩父鉄道の電気機関車にけん引されて、東武の電車が行き来している。

じゃあなぜ、東上線専用機のような東武9000系が伊勢崎線系統の線路を走ったか、9000系には地下鉄に乗り入れない地上専用機もある、とかなんとかは、またこんど。