東京から島根へ移住、石見神楽に魅せられた30代女性の暮らし・仕事・収入・夢…大好きなしまね時間を語る

2021.02.03

『神々のふるさと』と呼ばれ、出雲、石見、隠岐の3つの地域からなる、島根県。

人口66万8162人と、47都道府県のなかで46位というこの島根県で、いまU・I・Jターンがじわりじわりと増えている。

なぜいま、10~40代の県外出身者や島根県出身者が、島根をめざすのか。島根へ戻ってくるのか―――。

1989年に東京都練馬区で生まれ、地元の小学校・中学校・高校と通った窪田真菜さんも、そんな島根移住者のひとり。

真菜さんは、地元小学校4年生のころからヒップホップダンスに熱中。京都造形芸術大学に入学し、「ステージに立つ側から、ステージを支える側
へ」という思いから、舞台芸術学を専攻。

照明・音響などを学びながら、同大学の短期産業連携授業「温泉津プロジェクト」に参加し、島根県大田市温泉津町の石見神楽に出会う。

そこで「島根で神楽を学び、人とふれあいながら暮らしたい」という思いが募り、ふるさと島根定住財団のフォローアップを得ながら、大学卒業後すぐに温泉津町に移住。現在は同町の老舗旅館で働きながら、神楽やダンスを通じた地域おこしに力を注いでいる。

そんな真菜さんに、島根時間のいま・未来をいろいろ聞いた

―――なぜ島根に移住を?

◆真菜さん:舞台芸術を学んでいた大学時代に「温泉津プロジェクト」に参加し、在学中の4年間、京都と温泉津を往復して、神楽を学びながら、地元の人たちと連携して神楽イベントなど地域おこしに携わってきました。

そんななか、大学4年のときに東日本大震災が起きました。当時、東京がパニックになっている一方、島根の穏やかな自然と、そこに暮らす人たちの顔と顔がすごくみえるコミュニティに安心感を覚えました。

そして石見地方は、神楽が暮らしのなかの一部として存在しているので、わたしも暮らしの一部として神楽に関わっていきたいと思い、移住を決めました。

暮らしに溶け込んでいる神楽は、まるで「生き物」のように変化し続けるというか、その存在を毎日、感じながら暮らしています。もう島根に移住して、2021年で10年目になります。

―――いま温泉津町でどんな1週間を過ごしてますか?

◆真菜さん:いま日中は輝雲荘という旅館に勤めています。週2回、夕方は温泉津と大田市のダンス教室でインストラクターとして4つのクラスを担当していて、子どもから大人まで40名ほどの人たちといっしょにヒップホップダンスを楽しんでいます。

あとは神楽の稽古ですね。夕方などに自由な時間があるときは、地域の子どもたちと釣りに行ったり、温泉に行ったりもします(笑)。

首都圏に比べればかなり収入が低いのも事実。でも……

―――島根のいまもこれからも変わらず好きな点は?

◆真菜さん:星空がきれいだし、海や温泉がすぐ近くにあって…という島根のどこにでもある環境が、とてもありがたいことだと感じますね。東京に住んでいるとなかなか味わえないことです。

―――収入や支出、リアルな島根暮らしの面では、東京や京都と違う点は?

◆真菜さん:ここではあまりお金を使うことがないんですよね。食費や光熱費、家賃ぐらい。家賃は7LDKで2万円です。クルマ移動が基本なので、あとはガソリン代ですね。

正直、首都圏に比べればかなり収入が低いのも事実。でも、海や川、山と無料で楽しめる場所があるし、時間があると神楽鑑賞をハシゴする旅にも出ます。

秋には各地で神楽が催されるので、車でいろいろとめぐる時間が楽しいですね。その途中、温泉に立ち寄ったりもできますし。島根には素朴な風景のなかで「楽しい!」と思える遊びやアクティビティが豊富にあります。

近いうちに島根出身の方と結婚します!

―――伝統芸能というと、どこか閉鎖的で、外者を寄せ付けないという雰囲気がありますが…。

◆真菜さん: いえいえ、石見神楽にそうした気風などはまったくないですね。こちらから地域の伝統芸能を「勉強したい」と入っていくと、地域
の人たちはみんな優しく受け入れてくれます。

「好き!」という気持ちさえあれば、みんないっしょになって取り組んでくれるんです。それはどこへ行っても感じますね。みんなの気持ちがいっしょになると、神楽でも仕事でも、なんでも取り組むのが早いです。

わたしも神楽の技術を磨いて、地域の人たちに「きょうの神楽はよかったよ」といわれると、本当にうれしい。

あと、わたし自身の成長もですが、いっしょに神楽に挑む子どもたちの成長も感じられるのがとても幸せです。

―――結婚観やこれから家族を持つことについては?

◆真菜さん: 実は、近いうちに島根出身の方と結婚します! わたしにとって、10年目のここからが、もっと大事な「しまね時間「だと思っています。

これまで関わってきた地元の人の期待にどう応えられるか。まだまだ、ここ島根・温泉津でやりたいことがいっぱいです。

神楽も仕事もダンスも家庭も、がんばっていきたいなと思っています。東京へ戻るとか、そういう気持ちはまったくありませんね。

居心地の良い「お店」を持つのが夢

―――次の目標や、夢は?

◆真菜さん: 10年という節目でいま思っているのは、これまでずっと演じてきた恵比寿もそうですが、「温泉津にどう関われるか」という点でも、もう一段上へとステップアップしたいです。

わたしがいることで、「街にひとり住民が増えた」ではなく、「街が明るくなったよね」にしたいなと。

交流人口・関係人口が増えればいいなと思っています。そのためにも、自分が関わる地域の人たちをもてなせる居心地の良い「お店」を持つのが夢ですね。

島根県・温泉津の魅力を発信し、より多くの方々に知ってもらうきっかけにもなるような場所にしたいです。

そんな窪田真菜さん出演 YouTube 動画が公開中!

伝統芸能・石見神楽を継ぐ 「ヒーローでなくても、ここでいっしょに暮らしたい」

この「しまね移住PRムービー」は「島根で暮らす」を体感する計4本の映像シリーズ。

本映像を企画したCraftsman’s Base Shimaneは、島根県でフリーランスとして活動するUIターン者を中心に構成されている。

ライターやデザイナー、編集者、映像作家、ディレクターといったクリエイターたちと、島根県政策企画局広聴広報課が協働して実施するプロジェクトのひとつ。

◆『石見神楽』とは

島根県西部、石見地方を代表する伝統芸能。

「神の御心を和ませる」という神職の神事だったが、明治政府の「神職演舞禁止」などで、その土地の人々の手に受け継がれ、民俗芸能として演舞されるようになった。

そのリズムは、石見人の気性をそのままに、大太鼓、小太鼓、手拍子、笛などの囃子で演じ、見る人を神話の世界に誘う。

石見の人々は、そんな石見神楽を好み、舞に酔いしれながら、祭りの日、夜を徹して楽しんでいる……。

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