※2014年5月撮影

トップ画像は、オーストリア、ヴィーナー・ノイシュタット中央駅。右は構内で車両を移動させていたディーゼルカー、左奥は車掌車じゃないかな。何故、オーストリアの駅にいたのか、というと連れ合いがこの街で女性アーティストだけのグループ展に参加していて、小生は設営を手伝った後はやるコトが無いので半日駅でぼんやり列車を眺めていたのです。

さて第三章、書名と同じ「大人の鉄道趣味入門」というタイトルがつけられています。・・・ということは、この章が本書のメイン?

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まずは「鉄道を撮る」ということでカメラの話から始まります。フィルム・カメラ(銀塩カメラ)を使用する趣味人もいますが、昨今使用されるのは主にデジタルカメラです。

著者池口さんは、デジタルカメラの選び方、一眼レフからミラーレス・デジタルカメラの簡単な紹介、コンパクト・デジタルカメラにも触れながら、結論的には「自分の用途」にあった機種を自由に選べば良いと書いています。

※2013年2月撮影

小生も学生時代は、モノクロ高感度フィルム(コダック・トライエックスやフジのネオパンSSSなど)を長巻き(400フィート)で購入。それをダークバックでパトローネに巻いて、大量に撮影してD-76で現像して紙焼きも自分でやっていました。その頃、少しでも鉄道趣味があれば・・・。残念なことに全く鉄道を撮影していないのです。

今でもイルフォードHP4(モノクロ・フィルム)で撮影して同じくイルフォードの印画紙に焼いたモノクロ写真は、暗部のディテイルが繊細に描写されて美しかったと思います。写真をご覧いただきたいのですがスキャナーが古過ぎて使えません。(SCSIで繋ぐなんて信じられますか?)

※2014年5月撮影

現在はポケットのコンパクト・デジタルカメラ(SONY Cyber-shot DSC-WX800)で、ほとんど全ての写真を撮っています。手持ちです。三脚は使いません。

初期からデジタルカメラを使用してきましたが、今やカメラの性能の方が小生のスキルを遥かに上回っています。高性能なミラーレスカメラに憧れはありますが、基本は鉄道車両や駅を撮るだけですし「豚に真珠・猫に小判」の例え通り、そもそも小生にはそれだけの性能を使いこなす技量がありません。

※2012年12月撮影

しかしデジタルカメラも万能ではありません。暗い場所での撮影に強いのですが逆に「ど・ピーカン」の屋外で駅舎や鉄道車両などを撮影すると、コントラストの受容範囲が比較的狭いCCDの性能からハイエンドが飛んでしまうか、逆に暗部が黒くつぶれた写真になりがちです。

余談ですが、小生は1980年代から映像制作業界で働いていました。正にビデオカメラが撮像管(光学データを電気信号に変換する電子管)からCCDイメージセンサに換わる時代に現場にいたのです。撮像管の放送用ビデオカメラは数千万円というトンデモな金額でした。ちょうどSONYの放送用ベータカム(カメラとVTR一体型 通称ベーカム)が現場のクルーの姿を一変させた時代です。

1983年頃、最初期のレーザーディスク・カラオケを制作しましたが映像収録は、1インチVTRテープでした。デカいポータブルVTRを担いでロケ現場を移動するVE(ビデオ・エンジニア)さんが苦労していました。

まだアナログのベーカム(2分の1インチ・ベータテープが収録用)の性能は「報道用」のレベルでしかなかったのです。当時は4分の3インチのUマチックというVTRも放送用に使われていました。現役を退いた2インチVTR機がスタジオの隅にあってその巨大さを思い出すと隔世の感を禁じ得ません。

※2014年5月撮影

CMの制作をメインで行う様になってから、映像は主に35mmフィルムで撮影することになりましたが、話が長くなるので割愛します。

1993年、ベーカムがデジタル化され通称「デジベー」に換わってから性能は劇的に向上。1インチVTRはほとんど編集室以外では見なくなりました。そして小生は、1996年には家電メーカーに転職して映像制作の現場から離れてしまったのです。

※2014年7月撮影

有り体に言えば、鉄道チャンネルでご覧いただいている小生の写真は「乗り鉄爺がポケットのコンデジで鉄道旅の記録を撮った」というスナップ写真のレベルです。

いわゆる「撮り鉄」の皆さんの写真を拝見しますが、そもそも小生とは使っている機材が雲泥です。もちろんそれに伴う技術力、被写体を待つ忍耐力、被写体への集中力などは小生の及ぶところでは全くありません。

とは言え、著者の池口さんが言う様に、小生も鉄道趣味の基本は「まず鉄道に乗ること」だと思います。

(写真・文/住田至朗)