21時15分、京都発

「WEST EXPRESS 銀河」新宮への旅は京都駅31番線から始まります。出発時刻のおよそ20分ほど前に、夏の夜に溶け込むような瑠璃紺の車体が京都駅ホームへやってきました。

今回はマスコミ向けということで、117系を瑠璃紺に蘇らせたデザイナー・川西康之さんも登場

「WEST EXPRESS 銀河」は117系電車を改造したJR西日本の長距離列車。117系は今年3月に定期運行から退いた185系(特急「踊り子」など)の兄貴分とも言える形式で、JR西日本の顔「新快速」などで運用されていました。車体そのものは40年物ですが、現代の技術で手を加えたことで内外装を一新、コンプレッサーに手を加えるなどして低騒音化も施され、素敵な列車として生まれ変わりました。

夜の「WEST EXPRESS 銀河」普通座席の様子
夜の「WEST EXPRESS 銀河」フリースペース「明星」
夜の「WEST EXPRESS 銀河」2号車 普通車指定席 「クシェット」(女性席)

車内に立ち入るのはデビュー前の報道公開時(2020年1月)以来のことでしたが、当時とは内装がいくらか異なっていました。すでに乗車経験のある方はご存知かと思いますが、まず目につくのは新型コロナウイルス感染症への対策です。机上のパーテーションや椅子の表面などに「WEST EXPRESS 銀河」らしいデザインが施されています。また車内各所に消毒用アルコールも設置され、この状況下における安全な旅への意識を感じます。

ソーシャルディスタンスの確保を促す「距離」の図柄も「WEST EXPRESS 銀河」全体のデザインと調和する
4号車 フリースペース「遊星」のパーティション(撮影は朝方)

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昼と夜とではまるで顔が違う、というのも「WEST EXPRESS 銀河」の特徴だと感じました。新宮行きの夜行では和歌山を発つ午前1時〜6時ごろまで車内の照明を一部落とすのですが、暗い座席から眺めるフリースペースの間接照明、117系の走行音、流れ行く車窓の夜が「夜行の旅」を感じさせてくれるのです。

アナウンスも粋なもので、落ち着いた声音で大阪環状線60周年などの時事ネタも織り交ぜながら沿線の名所を案内していきます。一時停車を終えて「お待たせいたしました、旅を再開いたします」と案内されると、顔には出なくとも夜行の旅に対するトキめきを感じます。