熱中症警戒アラートが連日発出し、酷暑日が続く2021年夏。

8月4日には、島根県・広島県の山間を行く木次線の観光列車「奥出雲おろち号」のけん引機 DE10形ディーゼル機関車1161号機がオーバーヒートで立ち往生し、自力走行できなくなった。

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◆奥出雲おろち号 DE10 1161 が営業運転中にオーバーヒート
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オーバーヒートは、内燃機関エンジンで発生するトラブルで、エンジンの発熱がその冷却能力を上回り、文字通り異常加熱を起こしている状態。

DE10形は、国鉄が1970年前後にかけてつくったディーゼル機関車で、その数は700両以上にも達し、全国各地のローカル線や車両基地・貨物ヤードなどに配備され、残存する蒸気機関車などを置き換えていった。

搭載するディーゼルエンジンは、DML61系V型12気筒。

ボディ構造は運転室(キャブ)を車体前後の非対称でオフセットするセミセンターキャブで、運転室から長いほうが1エンド側に。

DML61系V型12気筒ディーゼルエンジンやその発熱を冷やす冷却機器系は、この長いほうの1エンド側に収まる。

今回の DE10 1161 のオーバーヒートは、異常なほどの酷暑によるものか、冷却系の経年劣化によるトラブルかは不明。

立ち往生時にディーゼルエンジン・冷却機器系が収まる1エンド側から白い蒸気が出ていたことから、冷却水を送るポンプまわりで破裂などが発生していたかもしれない。

記者のガソリンエンジンのクルマも、この7月に国道を50km/hほどで走っていたとき、ボンネット右側から白煙が吹き、水温計異常上昇エラーが出たことから急停車。

このときもラジエータ(熱交換器)から冷却水をエンジンへと送るパイプが経年劣化で破裂し、そこから冷却水が噴出し白煙が出たという状態だった。

ボンネットフードを開けてエンジンの熱をにがしながら、レッカー車を待つ。

レッカー搬送した修理屋のメカニックが「早めにとめたからエンジンの焼き付きはだいじょうぶみたい」というように、内燃機関エンジンは、オーバーヒート症状が出たらすぐに走行を止めるのが基本。

警告類を無視してエンジンを回し続けると、ピストンやシリンダーの異常加熱で焼き付きが発生し、エンジン不能に陥ってしまう。

8月4日に DE10 1161 が白い蒸気を上げて立ち往生したときも、エンジンフードを開けて放熱する姿があった。

あくまでクルマのメカニックがいう話として、「酷暑だからといって、その季節の高温でオーバーヒートするというわけじゃない。製造から16年も経つと、いろいろな部品が経年劣化する。それを交換するだけで済めばいい」とも。

DE10 1161 は1972年に製造されてからまもなく50年をむかえる。そりゃ、いろいろなパーツが経年劣化で破損するか。

今回のオーバーヒートでも、DE10 1161 のエンジンなどがまだ生きていれば、部品交換などの修理を経て再び自力で走る姿がみられるかもしれない。

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画像は2011年冬、大宮工場にいた DE10 1099。