東京と地方、それぞれで存在感 BRTをカガクする JR東日本の気仙沼・大船渡線BRTのメリットは? 東京BRTの乗車ルポも【コラム】
東京BRTに乗る

BRTは地方だけではありません。東京にもBRTがあります。2020年10月1日に運行を始めた、その名も「東京BRT」。東京都港区の虎ノ門ヒルズと中央区の晴海BRTターミナルの間約5キロを、30分足らずで結びます。
途中の停留所は新橋と勝どきBRTの2カ所だけ。目的地が晴海と聞いてピンときた方もいらっしゃるでしょうが、東京オリンピック・パラリンピック大会関係者のために設定されました。運行主体は京成バスと子会社の東京BRT。京成は千葉市の幕張メッセやZOZOマリンスタジアムの観客輸送で、2車体連結した連節バスの運行実績を持ちます。


2021年8月12日、連節バス乗車を目的に虎ノ門ヒルズに出向いたのですが、やってきたのは一般の路線バス。ドライバーの話では、連節バスでヒルズに来るのは始発の1本だけで、後は道路状況を考慮して、新橋発着だそうです。運行開始当初は物珍しさで多くの乗客が殺到したようですが、オリンピック後のこの時期、乗客は5人だけ。終点の晴海まで行ったのは私1人で、後は全員が勝どきBRTで降車しました。
現時点では五輪関係者の移動手段、オリパラ後に期待
気仙沼・大船渡線BRTは、専用道走行が目玉になっていますが、東京BRTにも港区と中央区の境界付近、ほんの1キロ足らずの区間だけ専用道を走ります。
停留所も、立派な〝駅仕様〟の気仙沼・大船渡BRTとは差があります。虎ノ門ヒルズは1階の車寄せからバスが発着しますが、ベンチはなし。終点の晴海は広大な駐車場の一角に造られたバスターミナルに到着しますが、ここにも何もありません。

考えれば、東京BRTはあくまでオリパラ関係者輸送が目的。晴海BRTのはす向かいのビルには、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が入居します。帰路は同じバスで帰っても良かったのですが、200メートルほど歩いて都バスに乗車しました。
以上のように、東京BRTは現時点ではまだ生まれたて。しかし、オリパラ後も東京BRTは運行を継続。ダイヤ改正も予定されているようで、実力発揮にはもう少々の時間が必要なのかもしれません。
いずれにしても、東京のど真ん中と東北の地方都市で、同じ輸送システムが成り立つのはバスだから。鉄道では考えにくいことです。気仙沼・大船渡BRTや東京BRTがどのように成長するのか、見守りたいと思います。
文/写真:上里夏生