コロナで大打撃 2020年度の三セク鉄道は40社すべてが赤字 ローカル鉄道の存在意義を考える【コラム】

2021.09.11

地域との共存共栄の関係を築く手立てが鉄道

後段は「取材ノートから」の番外編として、わ鐵の報告書から地方鉄道の存在意義を考えてみましょう。

わ鐵は沿線住民の利用だけで経営を成り立たせるのは困難で、地域外から利用客を呼び込む活動に力を入れます。多くの地域鉄道と同じく、観光鉄道としての利用促進や再生を目指します。

代表例がトロッコ列車の運転、映画・テレビドラマ・CM撮影を誘致するロケツーリズム、特産品を素材としたオリジナル弁当の販売、歴史ある駅舎の登録有形文化財指定などで、わ鐵は旅行業免許を取得。受け地が旅行商品を企画する着地型旅行の考え方で観光客を誘致します。

四季を走るわ鐵。中央のゆるキャラは「わ鐵のわっしー」です(画像:わたらせ渓谷鐵道知的資産経営報告書)

メディア登場回数は年間700回

中でも力を入れ、成果も上がるのが新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、広報誌といったメディアへの露出。その結果、年間の登場回数は700回前後に達しました。メディア露出では、あるマスコミの調査で、わ鐵が「乗ってみたい鉄道」の1位に選ばれるといった成果も生まれました。

しかし世の中をみれば、わたらせ渓谷鐵道の名前を知らない人が圧倒的に多い。群馬、栃木県民でも、「社名は聞いたことがあるが、どこを走っているかは知らない人」がほとんど。沿線の魅力やトロッコ列車の楽しさを上手に発信すれば、観光旅行で乗車してくれる可能性は大いにあります。

鉄道は地域の絆(きずな)

わ鐵が愛称の「わ」に込めた4つの想い(画像・わたらせ渓谷鐵道知的資産経営報告書)

観光・地域振興と並ぶ役割が「地域連携」。鉄道は住民、学校、企業などをつなぐ「絆」の役目を受け持ちます。

推進母体が2006年に立ち上がった「わたらせ渓谷鐵道市民協議会」で、団体(企業)と個人合わせて200者以上が参加します。「鉄道を活用した地域づくりで、わ鐵の価値を再認識し存続につなげる」が目標で、ふるさと駅長やふるさとウォーキングイベント、支援コンサートなどを実施します。

わ鐵は観光列車「トロッコわっしー号」の運転のほか、最近も「わっしー号布マスク」の販売など、沿線外の人たちにも鉄道を応援してもらう活動に力を入れています。

文:上里夏生


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