「北前船」「北陸新幹線」「富山の食文化」で三題噺【コラム】

2022.02.28

2022年2月、北陸新幹線の「敦賀駅」(福井県)で旅客上家工事が始まった。北陸新幹線の敦賀延伸は2024年春頃の予定だが、新幹線駅舎そのものは来年9月の完成を見込むという。

上家工事に関する鉄道・運輸機構のリリースには、北陸新幹線敦賀駅のデザインに関する記述もあった。モチーフは「北前船」だ。コンコースの天井は「北前船の帆をイメージした浮遊感のあるデザイン」に、そしてホームの床は「船の甲板をイメージした木調タイル」で仕上げ、待合室は「船をモチーフとしたデザイン」にする。

北陸新幹線「敦賀駅」のデザインイメージ(画像:鉄道・運輸機構)

北前船とは、江戸~明治期に日本海側を往来し、蝦夷地と大阪を結んだ廻船のこと。近江商人の開拓した北海道~敦賀間航路、幕府の命を受け河村瑞賢が整備した「西廻り航路」は、当時の物流の大動脈であり、北前船は行く先々で積荷を売買しながら利益を上げていた。

積荷の種類は様々だが、特に知られているのが蝦夷地(北海道)のニシンである。油を取って乾燥させたニシン粕は質の良い肥料として重宝され、船主たちに莫大な利益をもたらした。

日本海側の海辺の町に残る船主屋敷を見ると、往時の栄華がうかがい知れる。北前船は電信の発達や鉄道網の整備などにより衰退したが、その遺産は様々な形で現代に残る。

たとえば富山県の「昆布」――昆布が獲れないのにもかかわらず、富山県の1世帯あたりの年間支出額は群を抜く。精進料理が盛んに作られるという宗教的な下地や、同県出身者が北海道に移住して昆布漁を開拓した歴史、「昆布ルート」にも影響を与えた富山の薬売りの存在など様々な要因があるが、下地を作ったのは北前船だ。

北海道から日本海側を巡り、瀬戸内を経由して「天下の台所」大阪へと至る。そんな北前船の航路において、北陸は主要な寄港地。ニシン同様に主要な積み荷であった昆布は、富山で文化的に花開いた。

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