前身は上武鉄道と北武鉄道

ここから秩父鉄道の歴史をたどります。秩父鉄道の前身が、上武鉄道と北武鉄道という2つの鉄道会社だったのをご存じの方がいらっしゃるかもしれません。上武鉄道は明治年間の1896年の鉄道会議で建設が決まり、3年後の1899年に会社を設立。1901年に最初の熊谷―寄居間を開業したのに続き線路を伸ばし、1930年に三峰口まで全通しました。

北武鉄道は1921年までに熊谷―行田間を開業。これに先立つ1916年、上武鉄道は秩父鉄道に社名変更。1922年に秩父鉄道は北武鉄道を吸収合併しました。

鉄道6路線を横につなぐ

終点の三峰口駅は駅名通り三峰神社の玄関口駅。駅北側に「SL転車台公園」があり、パレオエクスプレス運転日にはSLの方向転換が見られます。駅は関東の駅百選に選ばれています(筆者撮影)

秩父鉄道は、秩父本線羽生―三峰口間(71.7キロ)と三ヶ尻線武川―三ヶ尻(3.7キロ)の2路線。三ヶ尻線は貨物線です。会社は地方鉄道に区分されますが、75.4キロの路線長は京浜急行電鉄(87.0キロ)や京王電鉄(84.7キロ)の大手私鉄に肩を並べます。

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秩父本線は羽生で東武スカイツリーライン、熊谷でJR高崎線と上越新幹線、寄居でJR八高線と東武東上線、秩父(または御花畑)で西武秩父線に接続します。東京から放射状にのびる6つの鉄道路線を横につなぎます。

駅数は全部で40駅(うち旅客駅37駅)、在籍車両は電車53両、客車4両、電気機関車(EL)17両、貨車134両、蒸気機関車(SL)1両(2021年3月31日現在、会社概要から)。SLファンはもちろん、貨物列車ファンにとっても魅力的な鉄道です。