暗闇にうごめく化け物に挑みかかる

車内の天井からはパラが下がり、民話・神話の世界にいざないます

ストーリーテラー列車で語り手を務めるのは、菊田千瑛さん、小谷真矢さん、齋藤克弥さんら若手俳優や声優。プロの脚本家が、茨城の民話や、ギリシャ神話をアレンジした3本のストーリーを用意しました。

「しっぺいたろう」は、地元・つくばの伝説が原作。ある日、村の役人が泣いている両親と娘に遭遇。聞けば、娘を化け物のいけにえに差し出さねばならないという。化け物退治の大役を仰せつかったのが、霊犬「しっぺいたろう」。たろうは暗闇にうごめく化け物に、敢然と挑みかかる――。

イベント列車の運行期間は2022年11月10日までの土日祝日。11~14時台に発車する「もみじ号」すべて上下12本にストーリーテラーが乗り込み、物語を朗読します。

「つくば市の観光価値向上」(三輪社長)

もみじ号横でフォトセッションする三輪社長(前列左)と飯野副市長(同右)。後列はストーリーテラーの3人

ADVERTISEMENT

試乗会では、筑波観光鉄道の三輪武士社長が「筑波山にきたことのない方が、来山するきっかけになれば……。イベント列車で、つくば市の観光価値を向上させたい」とあいさつ。つくば市の飯野哲雄副市長も、〝観光・つくば〟をアピールしました。

三輪社長によると、筑波山ロープウェイのイベント列車は今回がファーストケース。同じ京成グループの「京成バラ園」(千葉県八千代市)と情報交換する中で、ストーリーテラー列車の発想が生まれたそうです。

筑波観光鉄道は、イベントにあわせて期間限定デザインのきっぷも発売。券面に「しっぺいたろう」のほか、「弁慶七戻り」、「ガマの油」といった筑波山の伝説・名物をあしらいます。さらに、1日1枚程度の割合で「当たりチケット」もアトランダムに取り混ぜ、ゲーム感覚も楽しんでもらいます。

東京方面から筑波山へは、つくばエクスプレス(TX)と関東鉄道のバスを乗り継いで向かいます。イベントには、TXを運行する首都圏新都市鉄道と、関鉄が共催の形で名を連ねます。

記事:上里夏生