東京都交通局が発表した2024年度(2024年4月~2025年3月)の駅別1日平均乗降人員データをもとに、都営地下鉄4路線(浅草線・三田線・新宿線・大江戸線)の利用状況を分析しました。全106駅の中で最も利用者が多かった駅は? 各路線のランキングトップ5や意外なワースト駅、さらに気になる大江戸線の延伸構想についても解説します。

都営地下鉄は4つの路線を運行

都営地下鉄は、大江戸線(38駅)、新宿線(21駅)、浅草線(20駅)、三田線(27駅)の4つの地下鉄路線を運営しています。
2024年度の全線106駅での一日平均乗降人員は、乗車2,640,766人、降車2,640,766人の計5,281,532人となっています。
(この「一日平均乗降人員」は、浅草線、三田線、新宿線、大江戸線の乗降人員の合計から、都営線相互の乗り換え客数を引いたもので、4線の乗降人員の単純合計とは一致しません)
すべての路線で前年度(2023年度)から利用者が増加しています。

全路線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

まずは、全線でのランキング上位5駅と下位の5駅を見ていきましょう。(乗降人員の数字は、乗車人数+降車人数の数値です)

【乗降人員ランキング ベスト5】
新宿線と大江戸線の「新宿駅」がそれぞれランクインしているほか、空港アクセスや乗り換え拠点が上位を占めています。
1位:新宿(新宿線) 289,400人
2位:押上(浅草線) 227,566人
3位:泉岳寺(浅草線) 209,882人
4位:神保町(三田線) 139,451人
5位:新宿(大江戸線) 128,940人

【乗降人員ランキング  ワースト5】
住宅地や、他社線との共用駅(白金台)が下位となっています。
1位:新高島平(三田線) 9,534人
2位:白金台(三田線) 10,310人
3位:西高島平(三田線) 12,970人
4位:牛込神楽坂(大江戸線) 13,686人
5位:国立競技場(大江戸線) 13,711人

ワースト1位の新高島平と3位の西高島平の2駅は三田線の末端区間に位置し、主に周辺住民の利用に限られることが大きな要因でしょう。駅周辺は「高島平団地」などの大規模な集合住宅が広がっていますが、商業施設やオフィスビルは少なく、外部から人が訪れることがほとんどない地域です。また、バス路線が充実しているのも原因の一つでしょう。

スカイツリーの玄関口のひとつ「押上」 (写真:PIXTA)

各路線ごとの乗降人員ランキング

ここからは、都営地下鉄各線ごとの、乗降人員数ランキングの上位5駅を見ていきます。

【浅草線】空港アクセスで押上が首位独

空港アクセス特急の結節点が1・2位を独占しています。
1位:押上 227,566人
2位:泉岳寺 209,882人
3位:三田 107,560人
4位:大門 103,281人
5位:日本橋 94,679人

浅草線は、西馬込から押上までの20の駅で構成されます。
このうち、利用が最も多いのが押上駅で、乗車と降車を合わせで1日227,566人が利用します。東京メトロ半蔵門線や東武スカイツリーライン、京成押上線とつながる結節点で、スカイツリー周辺の観光需要に加え、成田空港方面へ向かうアクセス特急の乗り換え駅としても利用が多くなっています。

2位は泉岳寺駅です。京急線との相互乗り入れ駅となっており、京急沿線や羽田空港と都心を結ぶルートの一部として利用が広がっています。

都営地下鉄は、成田・羽田への空港アクセスも便利(写真:PIXTA)

京急線・京成線の2つの鉄道路線と直通運転を行う浅草線では、「アクセス特急」が押上を経由し、成田空港へ向かう速達列車として運転されています。都心部の主要駅である新橋、日本橋などから空港方面へ、乗り換えなしで向かうことができるのが特徴で、特急料金は必要ありません。停車駅を絞ったダイヤとなっていて、都心から空港までの所要時間を抑える役割を担っています。また、羽田空港と成田空港の双方とつながる直通ネットワークの一部として、空港間を移動する利用者にとっても一つの選択肢となっています。

【三田線】乗換のできる駅が上位を独占

神保町・大手町といったビジネス街の中心駅が上位です。
1位:神保町 139,451人
2位:大手町 109,600人
3位:目黒 108,156人
4位:三田 105,092人
5位:巣鴨 88,108人

都営三田線は、目黒から西高島平まで27の駅を結ぶ路線です。利用の多い上位駅は、都心部の乗り換え拠点となっており、沿線の住宅地を結ぶ路線として役割が広がっているようです。

1位の神保町は、三田線と新宿線、東京メトロ半蔵門線が交わる乗り換えの要所です。周囲には大学のキャンパスや古書店街があります。古書店を訪れる人の姿も多く、1日あたりの利用は約14万人と、三田線で最も多くなっています。

3位の目黒は、JR山手線と東急目黒線が乗り入れ、住宅地と都心部を結ぶ交通の結節点となっています。2023年3月には相鉄新横浜線・東急新横浜線が開業し、三田線の一部列車が新横浜方面へ直通するようになりました。日中時間帯には「新横浜行き」が設定され、東海道新幹線への乗り継ぎルートとして新たな選択肢が生まれています。

4位の三田は、JR田町駅と地下通路で接続し、ビジネス街と慶應義塾大学などが集まる地域に位置しています。駅周辺では、JR田町駅西口の森永プラザビル跡地で大規模な再開発が進められています。かつて地域のランドマークだった森永プラザビルは1970年代に建設されましたが、再開発に伴い解体され、新たに地上24階、高さ約125mの複合施設が建設される計画です。オフィスや商業施設、産業支援施設を備えた複合型の整備となり、駅前ロータリーの再編や地下鉄へのバリアフリー通路の新設も予定されています。

次ページ都営地下鉄ランキング、続いては都営新宿線と大江戸線のトップ5を紹介

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