尾根や谷が重なる山岳地形を活かした山城(やまじろ)で、戦国時代には「攻めるのが最も難しい城」といわれていた山陰の中世山城跡―――月山富田城跡。

富田城の歴史は、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や、いまオンエア中のNHK大河ドラマ「どうする家康」の物語にも関連する古城として、旅人たちを惹き寄せている。

山陰線 安来駅から安来市イエローバス観光ループ線で50分。月山入口バス停から戦国時代の攻め入る兵の気持ちで富田城の本丸まで登ってみると、その当時の苦闘がわずかかもだけど想像できる。

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この月山入口バス停の手前に広瀬バスターミナルという停留所がある。このバス停の建屋をみて、鉄道好きは、ちょっと興奮する↓↓↓

「出雲広瀬駅」「一畑電気鉄道」という文字跡

城跡の手前に、駅跡。

出雲広瀬駅―――もともと、山陰線 荒島駅から分岐してここ月山富田城の城下町として栄えた広瀬まで、飯梨川沿いに広瀬線という線路が敷かれていた。

広瀬鉄道が昭和初期に電車線を開業させ、山陰中央鉄道、島根鉄道を経て、一畑電気鉄道に引き継がれた。

この広瀬バスターミナルが、広瀬線の終着駅 出雲広瀬駅だったかというと、そうじゃないらしい。

鉄道の広瀬駅はこの広瀬バスターミナルから北1.2kmあたりにあった。

じゃあ、鉄道の広瀬駅の駅舎をここへ移したのかというと、そうでもないらしい。

1960(昭和35)年に鉄道の広瀬線が廃止されたあと、一畑電気鉄道運営による路線バスが、広瀬線の代替バスとして国鉄と連絡していたことから、このバスターミナルを鉄道の終着駅を同じく出雲広瀬駅としたという説も……。

―――あらためて、城跡の手前に、駅跡。春には飯梨川沿いの桜が満開になり、おだやかな川面と花吹雪が織りなす絶景を求めて、旅人が訪れる月山富田城跡。

川沿いから、月山富田城本丸から、松江城にその役目を譲るまで栄えた月山富田城の城下町の景色を、ゆっくり愛でる時間も、あり。