TXの沿線人口は開業以来26%増える

ここから三者委の提言を引用しながら、土浦延伸のメリットを探ります。結論から書き始めれば、「延伸によって得られる効果と費用のバランスを考慮すれば、土浦方面への延伸が最善」が三者委の見解です。

茨城県は、全県レベルでは人口減少社会に入っていますが、TX沿線3市(つくば市、つくばみらい市、守谷市)に限れば人口は開業年の2005年度と2022年度の比較で約26%も増加しています。鉄道は地域の発展に貢献。TXを延伸すれば、成長する地域も拡大します。

TXが土浦に延びれば、人口25万人のつくば市、14万人の土浦市、27万人の県都・水戸市が、TXとJR常磐線の2本の鉄道で結ばれます。延伸4案のうち土浦方面は建設距離が最も短く、他の3方面に比べて実現の可能性は高そうです。参考までに、TXつくば駅とJR土浦駅の直線距離は約8.4キロ。事業費約1400億円と試算されます。

書き忘れていましたが、三者委は土浦延伸で土浦駅接続と、常磐線で土浦の1駅先(水戸寄り)の神立駅接続の2案を比較しました。神立接続は土浦市中心部を通過しないことで事業費を抑えられますが、土浦駅を利用する乗降客はTXを利用しにくくなるので利便性は低下します。この点、土浦駅接続は神立駅接続よりも有利です。

TXは高架上、JRは地上を走る

三者委の提言のようにTXが土浦駅に乗り入れると、土浦―東京間はJR常磐線とTXの二重ルートになります。一見すると過剰投資に思えますが、注目したいのは線路構造の違いです。

地上を走るJRに対し、建設時期の新しいTXは高架構造(東京都内やつくば駅付近は地下)。万一の自然災害時に常磐線が被災しても、TXとJRを乗り継げば東京(秋葉原)―つくば―土浦―水戸を移動できます。

三者委の提言を受けた県は今後、費用負担や事業スキームを精査。国のアドバイスも受けながら、関係都県・機関との調整に取り組む方針です。

あくまで個人レベルの予想ですが、仮にTXが土浦に延びればJR常磐線との相互直通運転が実現するかもしれません。相当な将来になりますが、TXが土浦以遠、茨城空港方面に延びる夢も膨らみます。

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