※2023年5月撮影

トップ画像は、上北沢駅から甲州街道に出てさらに鎌倉街道を北に歩いて出会った庚申堂。とても綺麗に整えられています。

お堂の中、左は青面金剛像の庚申塔、元禄八年、1695年に建立されたものです。中央は、文字の庚申塔。こちらは翌元禄九年(1696年)の建立。右端の馬頭観音はその160年後、安政年間(1855年頃)に建立されたもので日蓮信仰と習合された珍しいものです。以上は、昭和60年(1985年)に世話人の方が記した「庚申堂の由来」に書かれていました。ほぼ40年前です・・・。

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※2023年5月撮影

庚申堂にあった「庚申堂由来の碑」です。しかし本当に綺麗に隅々まで掃除されています。

※2023年5月撮影

苦労して碑の全文を写しました。(笑)

「当堂宇には庚申塔二基馬頭観音一基を安置す この由来を尋ぬる

に庚申 馬頭観音信仰の風 往昔わが国に伝わり広く庶民の間にひろ

まる やがて近世中期に至る頃より石塔の建立盛んとなり下高井戸

村もまたこの風を受く 元禄八年十一月吉日鈴木七兵衛ら十一名相

図りて一塔を建立す 向って左側の庚申塔これなり 塔は合掌六臂

の青面金剛尊像に日月三猿を配す庚申信仰最盛期の典型なり つい

で翌元禄九年十一月吉日吉田佐市郎ほか十四名また文字を配した庚

申塔を建立しここに安置す 中央の石塔これにして型は質素ながら

村民の純朴な信仰心を知るにたる 庚申塔建立より年は流れて百六

十余年荒川氏なる人向って右側の馬頭観音塔を建立し愛馬の供養と

なす これ南無妙法蓮華経と刻み日蓮信仰に習合せし馬頭観音にし

て類例まれなる石塔なり この三基の石塔安置の所は旧鎌倉街道と

伝えられし古道に面し真近く玉川上水の清流を望むかつての景勝の

地にして村内安全五穀豊穣を祈願するの地にふさわしく村民の親し

く参拝するところなり 石塔の建立されて幾年月そそ間歴史は移り

景観また昔日の面影を変えれど人々の信仰厚く絶えることなく連綿

として続き石塔もいささかの損傷なく今日に至る。ここに昭和六十

年四月の吉日を選び先人の余徳を偲び由来を記して後世に伝え

んとす

庚申堂 世話人」

庚申堂を過ぎて鎌倉街道をさらに北に歩きます。

※2023年5月撮影

上北沢駅から1km弱で「杉並区立塚山公園」があります。

※2023年5月撮影

鎌倉街道は公園の南側を東に折れて、また北上し井の頭線の浜田山駅方面に向かいます。

※2023年5月撮影

庚申堂で長くなってしまったので、塚山公園散策は次回です。

(写真・文/住田至朗)

※駅構内などは京王電鉄さんの許可をいただいて撮影しています。

※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいているものです。ありがとうございます。

※参照資料

・『京王ハンドブック2022』(京王電鉄株式会社広報部/2022)

・京王グループホームページ「京王電鉄50年史」他

下記の2冊は主に古い写真など「時代の空気感」を参考にいたしました

・『京王電鉄昭和~平成の記録』(辻良樹/アルファベータブックス/2023)

・『京王線 井の頭線 街と駅の1世紀』(矢嶋秀一/アルファベータブックス/2016)