南国らしさを感じさせるスカイラインの車両(画像:日立製作所)

アメリカ・ハワイ州オアフ島の東カポレイ~アロハスタジアム間(17.7キロ)を結ぶ、「スカイライン」(ホノルル・レール・トランジット)が2023年7月1日(ハワイ時間では6月30日)に開業した。

ハワイ州初めての鉄道は、アメリカの都市鉄道システムで完全自動運転の第一号というのもセールスポイントだ。車両や運行システムを納入したのは、日立製作所グループで鉄道システム事業を受け持つ日立レール。日本時間6月30日14時、スカイライン第一期区間の完成と旅客サービス開始を発表した。

 スカイラインは今後、アロハスタジアム~ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル国際空港)~アラモアナセンター間の延伸を予定。全区間(約32キロ)が開業すると、ホノルル市内中心街や高速道路を走行する、1日推定4万台のマイカー移動(高速道路8車線分に相当)が鉄道にシフトすると見込まれる。

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新路線は、ホノルル高速鉄道輸送機構とホノルル交通局が運行。アメリカの主要都市に新しい都市鉄道システムが誕生するのは、1993年以来30年ぶりという。

スカイラインで、日立レールは信号・制御システム、ホームドア、試験と安全認証、システム運用と保守も担当する。日立製作所のアリステア・ドーマー副社長は、「ホノルル史上最大のインフラプロジェクトの完成をうれしく思う。スカイラインは、オアフ島の渋滞解消と二酸化炭素削減に貢献するだろう」と期待を託す。

車両は1編成4両で全20編成。1編成当たりの定員は約800人。列車の全長は約79メートル(260フィート)。車内は開放感あふれるデザインで、自転車やベビーカー、荷物スペースも用意する。

自動車社会のアメリカでは鉄道への親近感が薄く、スカイラインを「モノレール」と誤解する人もいる。ホノルル高速鉄道輸送機構とホノルル交通局、日立レールはなるべく早期に全線を開業させ、地域住民やハワイを訪れる観光客に〝鉄道〟を移動手段として認識させる取り組みが重要になるだろう。

完全自動運転で先頭車が特等席になる車内(画像:日立製作所)
開業記念セレモニーの様子(画像:日立製作所)

記事:上里夏生

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