「地域資源を目に見える形に資産化」

前半は、若干堅い話になりました。後半は、わ鐵の大間々駅でのイベントをレポートします。

わ鐵のルーツは国鉄足尾線。足尾銅山の銅鉱を運んで日本の産業発展に貢献しましたが、1973年の閉山などで輸送量は減少。JR東日本が短期間運行した後、1989年に第三セクター鉄道に転換されました。

追想・国鉄足尾線。車両は3ドアロングシートのキハ35形気動車で、同形車は現在足尾駅構内で静態保存されます(写真:わたらせ渓谷鐵道)

わ鐵が2013年に公表したのが「知的資産経営報告書」。報告書では、「観光や産業振興につながる沿線の地域資源を、社内外を合わせた人材の力で、目に見える形に資産化することが、わ鐵のDNA(遺伝子)」と宣言します。

洗浄機体験、DLの運転室乗車体験……

フェア会場の大間々駅には、数多くの鉄道体験イベントが用意されました。「普通列車車両に乗車して洗浄機体験」は、今や鉄道イベントの定番中の定番です。

わ鐵の車両は2011年以降に投入されたWKT-500形、510形、520形にほぼ統一されます。フェア来場者のため、JR両毛線との接続駅になる桐生―大間々間にシャトル臨時列車が運転されました(筆者撮影)

「DL(ディーゼル機関車)・DE10の運転室乗車体験」にも、長い列ができました。わ鐵は全線非電化で、一般列車は気動車で運転されますが、客車編成のトロッコ列車をけん引するのがDE10、2両在籍します。全部で708両も製作されたDE10ですが、そろそろ廃車される車両も出始めています。参加者にとって貴重な機会になったはずです。

JRや秩父鉄道が友情出展

会場のブースを一回りしましょう。上電、上信、わ鐵の3社はそれぞれのグッズを発売。旅行業の免許を持つわ鐵は、2023年11月に集中開催する人気企画「線路跡を歩こう」への参加を呼び掛けました。

3社以外では、JR東日本高崎支社と、県境を越えて埼玉県の秩父鉄道が友情出展して、それぞれの沿線や車両を情報発信しました。

ステージイベントでは、ご当地アイドルの「あかぎ団」がミニライブ。メンバーで県南・佐波郡出身の天田真未さんは大間々駅の1日駅長を務め、「これからの紅葉シーズン、わ鐵の沿線にお出かけください」とPRしました。

わ鐵の保存車両は、わ89-101号、302号の2両。フェアでは休憩室として車内が開放されました。89は導入年を表します(筆者撮影)

記事:上里夏生

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