ハワイ オアフ島に23年夏に新しく開業した鉄道、「スカイライン」(Skyline / 開業前の名称:ホノルル・レール・トランジット)に乗車をしてきましたのでレポートします。観光でオアフ島に行かれる方も、車窓からの景色が素晴らしい、日立製の車両が使われている最新の鉄道路線ですので、この記事を参考に乗車体験をお楽しみください。

印象的なレインボーカラーに、City & County of Honolulu(ホノルル市郡) のロゴが入る車体先頭部 (筆者撮影)

「スカイライン」 は、ハワイには久しぶりに登場した公共交通機関の鉄道路線で、オアフ島西側のカポレイ地区とダウンタウン間の交通渋滞を解消するために計画され、2023年6月30日に一部区間が開業しました。スカイラインの全ての駅名には、ハワイ語と英語の2つの駅名が設定されていて、オアフ島の南西部の「東カポレイ~ ワイパフ ~ パールリッジ ~ アロハスタジアム」間の9駅、約17.4km(10.8マイル)がこの2023年に開通した区間になります。

1.クアラカイ(東カポレイ)から、9.ハラワ(アロハスタジアム)までが開業 予定路線はアラモアナまで表示されています

この後は、更にオアフ島の東に向けての延伸工事が続いています。「アロハスタジアム ~ ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル国際空港)~ ミドルストリート(カリヒ・トランスポートセンター)」までの新たな4駅・約8.5kmの区間は2025年夏の開業予定、その先の「~ ダウンタウン ~ シビックセンター」までの新駅6駅・約5.3kmの区間は2031年の開業をめざして工事が進められています(西オアフ~シビックセンターまでで約31.2kmです)。更にその先の「シビックセンター ~ アラモアナセンター」までの2駅・1.3kmの区間は、まだ工事予定が定まっておらず、ここ数年間で開業するのかは現時点では微妙とみられています。

クアラカイ(東カポレイ)駅の周辺

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今回は、スカイラインの一番西側の起点駅となる「クアラカイ(東カポレイ)駅」から、この新しい鉄道に乗ってみました。この1.クアラカイ(東カポレイ)駅は、ハワイ・オアフ島の中でも屈指巨大ショッピングセンターである「カ・マカナ・アリイ(Ka Makana Ali’i)」から、北へ1.5kmほど、徒歩だと20分程度という距離にある駅です。(駅の前には、スカイラインの西側の起点駅から順番に振られている駅番号を併記をしておきます)
観光でワイキキに宿泊されている方は、(このレポートとは逆方向になりますが)東端の起点駅である「9.アロハスタジアム駅」もしくは、バスターミナルのある「5.ワイパフ・トランジット・センター駅」まではザ・バス(市バス)で移動をしてスカイラインに乗り換え乗車をするか、レンタカーがあれば9.アロハスタジアム駅か2~3カポレイ方面の駐車場がある駅、カ・マカナ・アリイまで車移動をしてから1東カポレイ駅へ徒歩移動をしてから乗車するかが良いかと思います。

カポレイにある大型ショッピングモール「カ・マカナ・アリイ」

この駅の西側のエリアであるカポレイ地区は、オアフ島ホノルル市の第2の都市中心を目指して開発が進む新興住宅地域になっており、「カ・マカナ・アリイ」などのいくつかのショッピングモールや、「コストコ」「ターゲット」といった大型店も揃っている場所になります。駅が作られた周辺には広い道路は走っていますが、まだ開発されていない土地も多く残っています。今回乗車をした 1.クアラカイ(東カポレイ)駅を利用する機会があれば、カ・マカナ・アリイの周辺にも是非立ち寄ってみてください。観光客に大人気の「チーズケーキファクトリー」や、手づかみでカニなどの海産物を食べられる「キッキン・ケイジャン」などは、ワイキキやアラモアナにある同店舗よりも空いていて利用しやすいかと思います。

駅の周辺はこれから開発される土地が広がります。 クアラカイ駅前の道路には、この駅ではなく隣駅のケオネアイ駅のPark&Rideを利用するように案内する看板が。

<Prak&ライド>

実はこのスカイラインには、「パーク&ライド(Park & Ride)」という駅の間近にある駐車場に車を駐車して、そのまま駅から鉄道に乗って移動ができるという移動方法(駐車 → 電車乗車)が用意されているのですが、全ての駅にその設備があるわけでは無く、この1.東カポレイ駅には専用の駐車場設備はありません。この駅の隣駅である2.ケオネアイ駅(ハワイ大学ウェストオアフ駅)には、このパーク&ライド用の駐車場が整備されているため、車の道路沿いにはケオネアイ駅の駐車場を案内する看板が掲げられています。パーク&ライドの駅は、今回開業した9つの駅の内3か所だけとなっており、2.ケオネアイ(ハワイ大学・ウエストオアフ校)駅には334台、3.ホノウリウリ(ホオピリ)駅には344台、9.ハラワ(アロハスタジアム)駅には580台の無料駐車場が用意されています。

右側に見えるのが、ホノウリウリ駅に隣接する大型駐車場

<乗車チケット・料金>

スカイラインに乗車するには「ホロカード」というハワイの公共交通機関に乗るためのカードが必要になります。2021年7月1日からホノルルのザ・バス(The Bus)で紙チケットに代わり本格導入された電子乗車カードです。日本でのSuica/Pasmoなどと同じようにバスやスカイラインに乗るための交通ICカードで、ザ・バス・オフィスやABCストア、フードランド、タイムズといったスーパーなどで購入できるほか、駅にある機械でも購入や入金が可能というものです。

今回は、乗車をするクアラカイ(東カポレイ)駅で購入をします。ホロカード自体は2ドルになり、その他に運賃や一日券分の入金が必要です。駅の販売機ではクレジットカードも使用できます。

スカイラインの運賃ですが、大人(18~64歳)3ドル、子供(6~17歳)1.50ドル、シニア(65歳以上)1.25ドル、幼児(5歳以下)は1人まで無料(2人~は子供料金)で、一度カードをタップし入場した後は、2時間半の間であればザ・バスなどへの乗り換え乗車ができます。ザ・バスとスカイラインを乗り継いでの移動ができるので、このスカイラインの開業でより早く色々な場所への移動ができるようになりました。

また1日券(ワンデーパス)の金額設定も用意されており、大人7.5ドル、子供3.75ドル、シニア3ドルとなっており、この金額を超えて1日で課金をされることはありません。(1日でいろいろな場所を巡るために何度も乗車をしても、23:59まではこの金額が最大の課金となります。)

自動販売機は日本語も選べます。 カードを改札機にタップするとハワイらしい「ALOHA」の文字が。

<ハワイ スカイラインの駅構内・ホーム>

スカイラインの駅への入場方法は、日本の駅と同じように購入したHOLOカードを自動改札機にタップを行い、透明のゲートが開く間に入場する形になります。カードの残額が足りないときは、タップ後にブザーが鳴り、カードリーダーの画面上にエラーが表示されるため入場できません。販売機で足りない金額を入金後に再度入場を試しましょう。(バスの中でのタップの場合には、不足金がある場合には現金での支払いが必要なので注意が必要です)

駅構内に入った後は、階段・エスカレーターかエレベーターでホームへと向かいます。

ホームへ行くには、もちろんエレベーターも用意されている

駅に入った後は、階段・エスカレーターかエレベーターでホームへと向かいます。

駅名表示には、ハワイ語と英語の2つの言語の駅名が大きく表示されています

ホームに上がると、ホーム上の駅名看板と、レインボーカラーが特徴的な列車が目に入ります。

この鉄道の全ての駅のホームには、ホームドアが設置されています

このスカイラインのホームには、開業時点で全ての駅でホームドアが完備されています。
既にご存じの方も多いかもしれませんが、このスカイラインの車両や運行システムは、日立製作所グループで鉄道システム事業を受け持つ日立レールが納入したものになります。アメリカの都市鉄道システムでは、初めての完全自動運転の鉄道システムとなっています。自動運転のおかげで運転席が必要ないため、車両の先頭や最後尾のスペースは客席として開放されており、大きな窓から前後面の車窓が見られるようになっています。

先頭車両の前面からは、眺望の良い車窓が見られます

次回以降では、列車内の紹介や実際の走行中の様子をレポートしていきます。

(写真・記事: 鎌田啓吾 /鉄道チャンネル)


【続きの記事】レポート2 :ハワイ オアフ島 の新しい鉄道路線 「スカイライン」【乗車レポート2】 2023年夏開業の新線車内や 前面からの展望を紹介 ( Hawaii ) | 鉄道チャンネル (tetsudo-ch.com)

【さらに先の記事】レポート3 :ハワイの鉄道で車窓を楽しむ新しい旅【乗車レポート3】 オアフ島の新鉄道「スカイライン」 アロハスタジアム~の景色 ( Hawaii )

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