North 最上階には植物があるルーフトップ

複合棟ⅠNorth 28~29階には、地上100m以上の高層建築物では世界で類を見ない、本物の植物を圧巻の規模で展開する約2,000坪のボタニカル・ルーフトップ空間が誕生します。

North 28~29階のボタニカル・ルーフトップ(画像:JR東日本)

このルーフトップには、2つの半屋外のパブリックガーデン、一軒家風のレストラン(ルーフトップレストラン)・カフェ等のショップが設置され、イベント開催などが行われる、品川駅周辺の展望が楽しめる複合用途の場所となります。

商業施設開発はルミネが

商業施設の開発に関しては、JR東日本グループで駅ビルとしてのショッピングビル事業などを展開をしているルミネが参加します。
TAKANAWA GATEWAY CITYの「100年先の心豊かなくらしのための実験場」という考え方のもと、あらゆる側面で前例のない挑戦を重ね、過去に類を見ない新しい商業のかたちをつくるという事ですので、どのような形になるか期待しましょう。

広大なオープンスペース多様なParkを配置

TAKANAWA GATEWAY CITYには、都内最大級約4haのオープンスペースが整備され、南北約1km以上にわたって、駅や広場からなる遊び場(Park)が形成されます。

複合棟Ⅰの駅前広場や、North最上部のボタニカル・ルーフトップなど様々な場所で、約2.7haの在来種を基調とした緑に彩られる景観が形成されます。周辺の水系、地形、植生を取り込み、日本の四季の豊かさが感じられるとともに、地域の方々と環境保全に取り組む舞台となります。

図:JR東日本 都市計画(素案)の概要から

また、上図のように、国道15号線との隣接する場所には、高輪地区とつながる広場が整備されます。

複合棟Ⅰの外装デザインはピカード・チルトン

複合棟Ⅰの外装デザイン・エントランス内装デザインには、世界的な建築設計事務所であるピカード・チルトン(Pickard Chilton)を起用しています。街の中心街区として「象徴的なアイデンティティの創出」「ヒューマンスケールな空間表現」「海岸線を想 起させる全体デザインに調和する『フロー』が生み出す良質な空間形成」を指針にデザインを行いました。

高輪ゲートウェイ駅側から見た駅前広場イメージ (画像:JR東日本)

また、ホテル内装デザインは、ヤブ・プッシェルバーグが務めています。

明治初期の鉄道構造物「高輪築堤」の保存と活用

品川開発プロジェクトを進めるにあたり、2019年4月にJR東日本の敷地内で品川駅改良工事を行っていたところ、石積みの一部が発見され、その後、山手線および京浜東北線の線路切換工事以降のレール撤去などを行ったところ、2020年7月には「高輪築堤」(たかなわちくてい)の一部とみられる構造物が見つかりました。

「高輪築堤」とは、明治5年(1872年)に日本初の鉄道が開業する際に、海上に線路を敷設するために構築された鉄道構造物で、わが国の歴史上も、世界史上も極めて重要な近代化遺産だとされています。特に、第七橋梁付近の石組みの遺構は、三代歌川広重の錦絵に描かれた築堤を想起させ、美しい石積み、弧を描く形状など、圧倒的な魅力を備えているとされます。(出典:東京都港区)

その後、考古学・鉄道史などの有識者で構成された高輪築堤調査・保存等検討委員会において、調査・保存のあり方が議論・検討され、2021年9月17日には、日本の交通の近代化や当時の土木技術等の歴史を知る上で重要な遺跡とされる、第7橋梁部および公園部が、すでに指定されていた「旧新橋停車場跡」に追加という形で「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」として史跡指定されました。

高輪築堤 2021年時点写真と保存イメージ (画像:JR東日本)

JR東日本では、高輪築堤調査・保存等検討委員会の取りまとめや、2021年9月の史跡指定を受けた上で、有識者の指導や技術的見解を踏まえた上で保存・公開方法を検討し、2023年5月に文化財保護法に基づいた保存活用計画に関して文化庁長官の認定を受けました。

2021年時点の写真と保存イメージ (画像:JR東日本)

「橋梁部を含む約80メートル(3街区)」と「公園隣接部約40メートル(2街区の公園部)の2箇所を現地保存とし、「信号機土台部を含む約 30 メートル(4街区)」を移築保存する(移築先はまだ未定です)とするという事を決定し、今後は有識者を交えて公開保存するための基本対策やモニタリングなどを進めることになります。

保存される高輪築堤の場所(画像:JR東日本)

JR東日本は「まちづくりの中で、150年前に構築された高輪築堤の価値を次世代に継承することで、地域の歴史価値向上、地域社会への貢献とともに新しいまちの価値向上を目指す」としています。高輪築堤跡の現地公開時期は、2027年度を予定しています。

2024年1月現在の状況

ここからは、今回紹介をした4街区・複合棟Ⅰの2024年1月の状況を、写真でお伝えします。

下の写真は、国道15号線沿い、南西方面からみた4街区の様子です。手前(品川駅寄り)がホテルやカンファレンス施設などが入る複合棟Ⅰ South、奥(田町駅寄り)がKDDI本社やルーフトップが出来る North になります。建物の角地には高輪辻広場(仮称)が設けられます。

2024年1月6日撮影

下の写真は、右側が複合棟ⅠSouth、左側がNorthになります。この2つのタワーの間の奥・高輪ゲートウェイ駅側には、2階レベルに駅前広場ができる予定です。その広場から、手前の国道15号線側にかけては、ゆるやかな階段で繋がる予定になっており、その1階レベルにも広場が設けられます。

2024年1月6日撮影

下写真は、国道15号線沿い、4街区と3街区の間くらいからの、複合棟Ⅰ方向の眺めです。大きく見えているのがNouthタワーです。29階建てのほぼ上部まで外観はできてきており、最上部がルーフトップガーデン部分になります。手前にある国道15号線沿いのビルの陰に隠れて少しだけ上部が見えているのが、Southタワーです。

2024年1月6日撮影

下写真は、上と同じ位置から、4街区と3街区の間をみたところです。奥がJRの線路になります。写真左の3街区・複合棟Ⅱはまだ6~7階程度までの進捗となりますが、開業は複合棟Ⅰと比べて最大で約1年程度遅いため、その予定には沿っているのだと思います。

2024年1月6日撮影

下写真は、線路沿いまで進み南を向いた写真です。写真左がJRの線路で奥の2階部分に高輪ゲートウェイ駅があります。写真右が複合棟ⅠNorthです。2階レベルには、駅と複合棟Ⅰをつなぐデッキの設置が始まっているのがわかります。

2024年1月6日撮影

高輪ゲートウェイ駅の改札口がある、2階デッキ部分です。現在は1か所しかない駅の改札口を出て歩道橋上を少し進むと、複合棟Ⅰの工事現場を見ることができる、透明の窓が設置されています。この窓から見える場所が、複合棟ⅠSouth(写真左のビル)とNorth(写真右)の間に設置される、駅前広場となるあたりという事になります。

2024年1月6日撮影

下は、ちょうど駅の道路上から、南を向いた写真です。右側の2階が駅、左の階段・エスカレーターを登ると改札階である2階に上がれます。2階のデッキは、この辺りではまだ設置が終わっていませんが、この辺りの上空にも全て設置されるはずです。ここから更に南側にかけては、デッキの設置が進んできています。

2024年1月6日撮影

下写真は、駅の南側から、北方向を向いたものです。駅の南側には、2025年3月をめどに新しい改札ができ、写真左方向に向かってJRの線路をまたいで芝浦港南口方面に繋がる連絡通路が設けられます。

2024年1月6日撮影

ここまで、高輪ゲートウェイ駅の周となる、4街区・複合棟Ⅰを中心に、現在の状況をお伝えしました。今回紹介をした複合棟Ⅰに関しては、他の街区よりも先行して2025年3月の開業を目指し工事が進んでいく事になります。

次回は、2026年3月までの開業予定となっている、1~3街区の概要などをお伝えしていきます。

(文・写真:鎌田啓吾)
※2024/1/17 一部追記

続きの記事: 高輪ゲートウェイ駅前の開発進捗2024年1月版② 品川開発プロジェクト (JR東日本)「TAKANAWA GATEWAY CITY」 | コラム | 鉄道チャンネル (tetsudo-ch.com)

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