2024年3月16日(土)、北陸新幹線 金沢~敦賀間が延伸開業する。2月には報道陣向けの試乗会が行われた。記者は東京から参加し、一足先に延伸開業区間の旅を楽しんだ。

試乗会列車は金沢~福井間を約30分、金沢~敦賀間を1時間以内に走り切った。停車パターンが開業後のそれとは異なるため単純比較はできないものの、現行の特急「サンダーバード」なら停車駅の少ない列車でも金沢から敦賀までおよそ1時間15分かかる。敦賀での乗り換えが何かと注目を集めがちだが、福井・敦賀と金沢や富山、長野など、北陸エリア内の移動は格段に便利になるとも感じられた試乗会だった。

敦賀到着後は駅構内の取材をして解散ということになった。一旦金沢へ戻ってから東京へ戻っても良いし、敦賀から米原へ向かい東海道新幹線に乗る手もある。どちらにしようかと考えた末、「敦賀~金沢間を在来線で移動すればJR西日本から三セクに移管される前の北陸本線の姿が楽しめる」ということで金沢ルートに決めた。

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時間には余裕があったので、敦賀で記事を書いてから金沢行きの列車に乗ることにした。そこで駆け込んだのが駅前にある「喫茶 Pine」だ。お店のInstagramには「敦賀駅に1番近い喫茶店」と書かれている。

店内には試乗会参加者らしき姿もあり、お店の方にも「(試乗会で)乗られたんですか?」と聞かれた。世間話のついでに「実は取材で来てまして」と事情を説明し、1時間ほど原稿を書かせてほしいというと、快くOKしていただいた。

テーブル席についてメニューを見ていると、意外なものが目に入った。特急「雷鳥」の写真だ。1964年に大阪~富山間を結ぶ特急列車として新設され、後の「サンダーバード」にバトンをつないだ花形特急のありし日の姿。もちろん額には「特急シンボルマーク」が輝いている。

カウンターの壁には「雷鳥」「しらさぎ」「北越」などのオレンジカードが額に収められて飾られていた。お店の方に「鉄道には乗られるんですか?」と訊ねると、日常生活で使うことはなく、ほとんど車移動だそう。ただ敦賀開業したら新幹線にも乗ってみたいとのことで、鉄道絡みの仕事をしている身としては嬉しくなった。

お店側がこのような写真やオレンジカードをいつまで飾っているかは分からない。ひょっとしたら「新幹線が通るから」ということで一時的に昔の写真を引っ張り出しただけかもしれないが、たまたま座った席にこんな写真があれば鉄道ファンは喜ぶだろう。願わくば、また敦賀に行く日まで飾っておいてほしいものだ。

記事:一橋正浩

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