いよいよ大阪・関西万博も10月13日で閉幕をむかえます。その後は、この跡地には一何が作られるのできるのでしょうか?大阪府と大阪市は、大阪・関西万博の跡地(夢洲第2期区域)をどのように再開発するかの基本計画(マスタープラン)を発表しています。約50haという広大な土地に、隣接して開業するIR(統合型リゾート)と連携しながら、「未来社会」を実現する国際的な観光拠点を目指すとしています。象徴的な木造建造物「大屋根リング」や大阪ヘルスケアパビリオンなど、万博のレガシーを後世に継承する計画にも注目が集まっています。この記事では、万博の跡地がどんな街に生まれ変わるのか、その計画の全体像をご紹介します。(写真:大屋根リング上の景色、鉄道チャンネル)

舞洲で先行する統合型リゾートの整備後に着手

約390haの埋立地「夢洲」では、万博の敷地跡となる第2期の整備区域に先行して、隣接する第1期の区域で、2023年4月に国の認定を受けた「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」に基づいた統合型リゾート(IR)の整備が進められています。

日本最大級のオールインワン型MICE施設(国際会議場・展示等施設)や、大阪や日本の魅力を発信する施設、バスターミナル・フェリーターミナル、総客室数約2,500室の宿泊施設やカジノ施設等の統合型リゾートが予定されています。
万博が行われていた第2期の区域の開発は、第1期のIRなどの整備後に行われる予定です。今回は、その第2期の計画に関して、より詳しく見ていきましょう。

目指すのは「未来社会」を実現する国際観光拠点

万博跡地のまちづくりは、「エンターテイメントシティの創造」「SDGs未来都市の実現」「最先端技術の実証・実践・実装」の3つを大きな柱としています。単に楽しい場所を作るだけでなく、環境に配慮し、万博で披露された未来の技術を実際に体験できる街づくりを目指す計画です。

万博跡地には何が作られる? 4つのゾーンで構成される跡地の姿

第2期での開発予定地域は、大きく4つのゾーンに分けて開発される計画になっています。

①ゲートウェイゾーン

夢洲駅の目の前に広がる、街の玄関口です。商業施設やレストラン、ホテルなどができ、訪れた人がワクワクするような「にぎわいの中心」となります。

② グローバルエンターテイメント・レクリエーションゾーン

跡地の中心となる、世界中の人々を惹きつける大規模なエンターテイメント施設が計画されています。計画案には、国際的なモータースポーツ拠点(サーキットなど)や世界クラスのウォーターパーク、アリーナ、劇場といった夢のある施設の例が挙げられています。

③IR連携ゾーン

隣にできるIR(統合型リゾート)施設と協力し、相乗効果を生み出すエリアです。ホテルやMICE施設(会議場や展示場)などが想定されています。

④大阪ヘルスケアパビリオン跡地活用ゾーン

万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」の理念を引き継ぎ、先端医療やライフサイエンスに関連する施設が計画されています。

万博跡地の開発計画

あの「大屋根リング」や「静けさの森」もレガシーとして継承

万博の象徴的な建物も、形を変えて跡地に残される計画です。

大屋根(リング)

万博のシンボルである木造のリングは、その一部(北東側の約200m)を現地に残し、開発事業者にモニュメントとして活用したり、部材をベンチやバス停などに再利用(リユース)したりする案を求めていく方針です。

大屋根リングの行方にも注目です

最近の報道では、リングを維持するためには多大な経費が掛かるとされていますが、リングの北東部約200mとその周辺を大阪市が「市営公園」として整備する方針で合意したと伝えられており、今後の動きに注目です。

圧巻の大きさの木造建造物「大屋根リング」(写真:鉄道チャンネル)
大きな円になっているのが判ります(写真:鉄道チャンネル)

大阪ヘルスケアパビリオン

大阪ヘルスケアパビリオンは、地元大阪がREBORNをテーマに、未来に実現を目指すヘルスケアや都市生活の体験、iPS細胞をテーマにした再生医療の可能性の発信などを行っていたパビリオンです。万博後には、一部をレガシーとして後世に継承することとし、建物の一部を残置または敷地内で移築し、民間事業者所有のもとで「先端医療」「国際医療」「ライフサイエンス」に係る事業を実施するという計画です。

大阪ヘルスケアパビリオンの一部も残されて再活用されます

静けさの森

会場の中心に作られた人口の森「静けさの森」の樹木も、跡地の緑地として活用される計画です。区域を経工せずに利用するか、区域を移設して利用するのかなどが、検討されています。

「静けさの森」がどのように再利用されるか検討されています

このマスタープランに基づき、2025年度の後半には実際に開発を行う民間事業者の募集が開始される予定です。万博の理念と感動を引き継ぎ、IRと一体となった新しい国際観光拠点が大阪のベイエリアに誕生します。大屋根リングの一部や大阪ヘルスケアパビリオンといったレガシーを継承しつつ、広大な土地が緑地化される予定です。未来社会の実験場として、万博の感動を次の都市機能へとつなぐ、夢洲の今後の再開発に注目が集まります。
(画像:鉄道チャンネル、大阪府・大阪市)

鉄道チャンネル編集部
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