2026年4月15日、さいたま市「鉄道博物館」で、鉄道旅行のプロが選ぶ最高のアワード「第15回鉄旅オブザイヤー」の授賞式が開催されました。
全89エントリーの中からグランプリに輝いたのは、阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)を主役にした四国一周ツアー。本記事では、復活を遂げた「伝説の特急」リバイバル企画や、日本縦断の超豪華プランなど、2026年・2027年の旅行計画の指針となる受賞作品を速報レポートします。

第15回鉄旅オブザイヤーの審査基準は?

「第15回鉄旅オブザイヤー」審査項目

鉄道ファンや旅行業界関係者が固唾を呑んで見守る中、ついに発表された「第15回鉄旅オブザイヤー」。審査対象は、2025年に催行(予定含む)された日本国内を目的地とする募集型企画旅行および受注型企画旅行のうち、鉄道旅行の魅力がツアーの中心にある89商品。「企画性」「オリジナリティ」「鉄道力」「コストパフォーマンス」「非鉄誘引力」「ベストセールス」をもとに審査を実施しました。

優秀賞に選ばれた3つのツアーを紹介!

会場では、優秀賞に選ばれた3作品を紹介。企画趣旨やアピールポイント、企画者の苦労や参加者の声などをもとにプレゼンを実施。その内容をもとに、外部審査員や鉄道各社、旅行会社の代表による決戦投票が行われました。

【優秀賞1】5つの特急と3つの新幹線で日本縦断!

日本最南端の始発駅から日本最北端の終着駅までめぐる欲張りなプラン

阪急交通社の「5つの特急と3つの新幹線でつなぐ鉄道でめぐる日本縦断の旅5日間」は、まさに鉄道ファンにとっての「全部盛り」プランです。
伊丹空港から飛行機で鹿児島空港へ。日本最南端の始発駅・枕崎駅を出発し、鹿児島中央駅から九州新幹線と山陽新幹線、特急スーパーおき、寝台特急サンライズ出雲と乗り継ぎ、最終的には東北・北海道新幹線~特急北斗~特急ライラック~宗谷線特急サロベツで日本最北端の稚内駅を目指すという壮大なスケール。食事も鹿児島の「えびめし」、福岡の「かしわめし」仙台の「牛タン弁当」、北海道の「海鮮えぞ賞味」と各地の駅弁を網羅。胃袋でも日本縦断を堪能できる構成です。

企画者のポイント
参加者の平均年齢は60~70代と高めなこともあり、日本最南端の西大山駅ではゆっくりと記念撮影できる時間を、湯田温泉駅では温泉などを楽しむ時間を取るなど、ゆとりあるスケジュールに。行き帰りは飛行機で移動し、無理なく鉄道旅を楽しめるプランとなっています。

【優秀賞2】「大阪しなの」が復活? 日本旅行創業120周年記念号

このツアーでしか体験できないコンテンツを多数盛り込んだ、往復14時間貸切列車のプラン

日本旅行の「大阪~長野 直通団体貸切列車『日本旅行創業120周年記念号』で行く 長野・善光寺」は、同社の創業120周年を記念したリバイバル企画。1908年に国鉄貸切臨時列車で善光寺参りの団体旅行を実施しており、この旅行が「日本における旅行業の発祥」と言われていることから企画されました。
かつて在来線定期昼行特急として最長距離を誇った「大阪しなの」を彷彿とさせる、大阪発長野行きの直通ルートをJR東海の383系を使用して運行。長野駅到着後は、しなの鉄道115系やえちごトキめき鉄道455・413 系といった3種類の国鉄型電車の貸切運行による「120周年リレー号」に乗車。国鉄型電車の走りや幕回しを体験できる内容です。

企画者のポイント
JR西日本・東海・東日本の3社を跨いでの調整や、創業の地である草津駅で出発セレモニーを安全に行うため、鉄道ファンが殺到することを見越した警備体制の構築といった苦労の末に実現したプラン。善光寺では通常参拝では入ることのできない内々陣で大法要を実施するなど、他では体験できない内容を提供しました。

【参考】大阪~長野直通「日本旅行創業120周年記念号」に乗車、さらに国鉄型電車でレア体験! 鉄道ファン向けツアー9/29申込開始(※2025年9月掲載)https://tetsudo-ch.com/13012287.html

【優秀賞3】世界初!DMVで四国を一周する次世代ローカル旅

鉄道ファン以外にも魅力的な、ローカル線で四国を一周できるツアー内容

クラブツーリズムの「道路と路線をそのまま走れる「世界初の営業運転DMV」にも乗車! 瀬戸内海・太平洋・四万十川の絶景 ⑦つのローカル列車で四国ぐるり一周 3日間」は、昔懐かしい0系新幹線を模した予土線「鉄道ホビートレイン」、心地よい風を感じることができる土佐くろしお鉄道のオープンデッキ型観光列車「やたろう号」といった個性的な列車や、山間部に佇む秘境駅「大歩危駅」や近年はインスタ映えスポットとして話題の「下灘駅」、別名四国三郎・吉野川沿いを走る「JR徳島線」、その暴れ川の渓谷沿いを走る「土讃線(どさんせん)」と、風光明媚な四国のローカル鉄道の魅力を余すことなく詰め込んだツアーです。
主役は、阿佐海岸鉄道が世界に誇る世界初の線路・道路両用車両「DMV(デュアル・モード・ビークル)」。バスから列車へ変身する「モードチェンジ」の瞬間も目にすることができます。

【参考】吉川「乗り心地の違い、ぜひ体験してみて」鉄道・バスどっちも行けるDMVに挑戦 「新・鉄道ひとり旅」224回目の舞台は「阿佐海岸鉄道」(※2024年4月掲載)https://tetsudo-ch.com/12956333.html

企画者のポイント
ダイヤの少ないローカル線をツアーバスで繋ぎ、移動時にはバスに荷物を置いて身軽に旅ができるようにするなど「誰でも気軽に利用しやすいプラン」にしたことで、鉄道ファン以外の申し込みも多く、クラブツーリズムの地方発着ツアーのなかでも人気商品となりました。2026年度もツアーを継続しており、路面電車「とさでん交通」を加えた8つのローカル列車に乗車できる商品にパワーアップしています。

第15回鉄旅オブザイヤー、栄えあるグランプリは!?

(写真左から)グランプリに輝いた阿佐海岸鉄道の大谷さん、クラブツーリズムの山野井さん、JR四国の上段さん、クラブツーリズムの福原さん

決戦投票の結果、グランプリに輝いた商品は、クラブツーリズム株式会社による道路と路線をそのまま走れる「世界初の営業運転DMV」にも乗車! 瀬戸内海・太平洋・四万十川の絶景 ⑦つのローカル列車で四国ぐるり一周 3日間でした。

審査員長の山口昌彦さん

審査員長の山口昌彦さんは、審査の上位に残った商品の共通点について「ツアー参加者の笑顔が思い浮かぶ」「プロとしてのこだわりや意地を感じる」という2点を挙げ、いずれも大切なことだと語りました。

列車内で沿線にちなんだ日本酒を楽しんだり、列車で提供される日本酒の酒蔵めぐりをしたり、日本酒講座なども行われるツアー

また、国土交通省 鉄道局長賞はクラブツーリズム株式会社による「飯坂電車・山形鉄道・由利高原鉄道・秋田内陸縦貫鉄道 4つのローカル列車を貸切運行!列車内では沿線にちなんだ地酒をお楽しみ!!「東北ローカル列車めぐり」と「東北地酒めぐり」のマリアージュ」が受賞。

「新金線」が検討されているJR総武本線の新小岩信号場駅~新金駅(金町駅)など、通常は移動できない貨物線を特急車両で移動するツアー

審査員特別賞には株式会社JTBによる「歴代編集長と行く JTB時刻表100周年記念号 首都圏貨物線の旅」が選ばれるなど、ハイレベルな争いが繰り広げられました。

一般部門は豪華すぎる夢の企画が受賞

当日の司会も務めたダーリンハニーの吉川正洋さんと女子鉄アナウンサーの久野知美さん、旅行会社部門の審査員にも名を連ねるホリプロマネージャーの南田裕介さん

鉄道旅行ファンから、2026年度デスティネーションキャンペーン開催地である「福島県、熊本県、山口県、京都市」のいずれかを対象とした鉄道旅行ツアー企画を募集する一般部門には55作品が集まりました。「企画性」「オリジナリティ」「鉄道力」「非鉄誘引力」「参加意欲」をもとに審査を実施。一次審査を通過した14作品のなかから、特別審査員の吉川さん、久野さん、南田さんが「ベストアマチュア賞」を選定しました。

ベストアマチュア賞を受賞した橋本ちひろさんは、那須高原で鉄道カフェを営む「鉄オタ」のご主人と夫婦で登壇

ベストアマチュア賞は、橋本ちひろさんの作品「豪華3大クルーズトレイン(四季島・瑞風・ななつ星)で巡る日本一周14日間の旅~9つの観光列車にも乗車します~」に決定しました。

ツアー価格はすごいことになりそうですが、鉄道ファンならずとも乗ってみたい列車がてんこ盛りの魅力的なツアーが提案されました

タイトルの通り、3大クルーズトレインと9つの観光列車に乗り、2026年度のデスティネーションキャンペーン開催地、福島・熊本・山口・京都の4ヶ所をすべて訪れるという豪華すぎる内容。南田さんは「夢の企画。ツアー名にすべてが詰め込まれている」と評価しました。

もし、AIに鉄旅を企画してもらったら!?

無茶なツアー案に突っ込みを入れる3人

授賞式の前には吉川さん、久野さん、南田さんによる毎年恒例のトークも展開。「AIに鉄旅を企画してもらったら!?」をテーマに、AIが作成した現実離れしたツアー案をJRのエリアごとに提案しました。例えば四国エリアからは「鉄道ホビートレイン(0系新幹線風)」「海洋堂ホビートレイン」「しまんトロッコ」の予土線・全3種を(単線区間しかないのに)同時並走させて観賞するツアー案を紹介。物理的にもダイヤ設定的にも不可能なツアーばかり飛び出し、会場の笑いを誘いました。

第15回鉄旅オブザイヤー受賞結果

【優秀賞】(第15回鉄旅オブザイヤー グランプリ)
受賞会社:クラブツーリズム株式会社
商品名:道路と路線をそのまま走れる「世界初の営業運転DMV」にも乗車! 瀬戸内海・太平洋・四万十川の絶景 ⑦つのローカル列車で四国ぐるり一周 3日間

【優秀賞】
受賞会社:株式会社日本旅行
商品名:「日本旅行創業120周年記念号」で行く 長野・善光寺

【優秀賞】
受賞会社:阪急交通社
商品名:5つの特急と3つの新幹線でつなぐ鉄道でめぐる日本縦断の旅5日間

【国土交通省 鉄道局長賞】
受賞会社:クラブツーリズム株式会社
商品名:飯坂電車・山形鉄道・由利高原鉄道・秋田内陸縦貫鉄道 4つのローカル列車を貸切運行!列車内では沿線にちなんだ地酒をお楽しみ!!「東北ローカル列車めぐり」と「東北地酒めぐり」のマリアージュ

【審査員特別賞】
受賞会社:株式会社JTB
商品名:歴代編集長と行く JTB時刻表100周年記念号 首都圏貨物線の旅

【ベストアマチュア賞】
受賞者:橋本 ちひろさん
作品名:豪華3大クルーズトレイン(四季島・瑞風・ななつ星)で巡る日本一周14日間の旅~9つの観光列車にも乗車します~

定期列車の引退や路線の維持が課題となる昨今、今回のグランプリ作品は「鉄道をどう守り、どう楽しむか」というプロの知恵と愛が詰まっていました。次の休みは、単なる移動手段としてではない「鉄道が主役の旅」へ。車窓を流れる景色とともに、新しい日本の魅力を見つけに出かけてみませんか?

文・写真:斎藤若菜

(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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