
JR札幌駅南口の再開発ビルは、これまでの高さ約245m・地上43階の1棟から、「西2丁目」と「西1丁目」の2棟に分かれ、時期をずらして建つ計画に変わりました。先に建つ西2丁目は高さ約80m・地上11階で、2027年度に着工して2030年度に竣工する予定です。西1丁目は高さ約230m・地上34階で、2030年度に着工し、2034年度の竣工を予定しています。
JR北海道が2026年7月15日に公表した「北5西1・西2地区第一種市街地再開発事業」の計画概要によると、見直しの背景は全国的な資材価格の上昇や労務コストの増大などによる工事費の高騰です。西2丁目には、地下鉄東豊線と新たにつながる通路も計画されています。
一体整備だった計画との違い、西2丁目と西1丁目それぞれの高さや用途、着工・竣工の時期、バスターミナルや新幹線札幌駅との関係、都市計画変更の手続きまでをご紹介します。
高さ約245mの1棟から、西2丁目先行の2棟へ。2022年に都市計画決定済み
北5西1・西2地区第一種市街地再開発事業は、札幌駅南口の駅前広場の東側にあり、新幹線札幌駅に接する区域です。元々は札幌エスタがあった場所で道民からも注目されていた超高層ビル計画で、事業は2022年に都市計画決定を受けていました。
しかし、JR北海道は2025年3月に両街区を一体で建てる計画をやめ、建物を分割して街区ごとに段階的に整備する方針を発表していました。物価高騰に伴う総事業費の爆発的な膨張と、深刻な人手不足への対応のためとされています。
「見直し計画の概要」を確定して段階的な整備を行うには、都市計画の変更が必要になりますが、この手続きは2026年6月に始まっています。今回は新しい計画概要を示した資料を元に、計画を説明をしていきます。

【概要】これまでの計画(建物一体整備)
延床面積:約386,700㎡
最大高さ:約245m(地上43階・地下4階)
着工:2023年度
竣工:2028年度
【概要】見直し計画(西2丁目先行段階整備)
延床面積:西2丁目 約95,500㎡/西1丁目 約231,000㎡(合計約326,500㎡)
最大高さ:西2丁目 約80m(地上11階・地下2階)/西1丁目 約230m(地上34階・地下4階)
着工:西2丁目 2027年度/西1丁目 2030年度
竣工:西2丁目 2030年度/西1丁目 2034年度
延床面積の合計は、一体整備の約386,700㎡から約326,500㎡へと小さくなります。

西2丁目は高さ約80m・地上11階。クリニックモールと商業、地下鉄東豊線との新しい通路
先行する西2丁目は、地下2階から地上11階の建物です。主な用途は、地上10階のクリニックモール、地下1階から地上10階の商業、1階のバスターミナルなどです。
注目は、西2丁目と地下鉄東豊線を結ぶ動線が新たに計画されている点です。まちの回遊性を高めるためとされています。また、西1丁目が使えるようになるまでの間、いま路上にある仮設のバス乗降場を、西2丁目になるべく集約する方針も示されました。バスターミナルを各街区に整備する計画そのものは変わりません。
工程表では、西2丁目は2026年度から2027年度にかけて解体工事と設計を進め、2027年度から2030年度にかけて新築工事を行い、2030年度に竣工する予定です。
西1丁目は高さ約230m・地上34階。中層ホテルは取りやめ、商業は縮小
後から建つ西1丁目は、地下4階から地上34階、高さ約230mの高層棟です。主な用途は、34階の展望施設、27階から32階のホテル、6階と9階から25階のオフィス、地下1階から地上5階の商業、1階のバスターミナルなどです。
一体整備の計画と比べると、中層階のホテルは取りやめとなり、商業は縮小されます。
開発環境の変化を踏まえて、フロア構成が見直されました。ホテルは高層階(27階〜32階)に残ります。

西1丁目の工程は、2030年度ごろまで設計、その後に新築工事で、2034年度に竣工する予定です。バスターミナルの供用は、西2丁目が2031年度から、西1丁目が2035年度とされています(工程表より)。
新幹線札幌駅の改札に直結するアトリウム、新幹線札幌駅の東改札口も
JR北海道は、まちづくりの基本的な考え方は変えず、北海道の玄関口として、新幹線札幌開業を見据えた都市空間を整備するとしています。


発表資料に挙がっている主な項目は次のとおりです。
【整備方針の主な内容】
交通結節機能:新幹線駅の改札に直結する、北海道の魅力を発信するアトリウム/待合スペースを備えた2つのバスターミナル/地下鉄駅との接続や交通広場
都市機能:国際水準のホテル、高機能オフィス、商業施設、展望施設やスカイガーデン
防災・環境:災害時の帰宅困難者のための一時滞在場所の確保、省エネルギー化
周辺との連携:創成東地区へつながる歩行者ネットワークの形成、新幹線札幌駅東改札口の設置
また、分割される2つの建物は連絡デッキでつなぎ、歩行者のネットワークをつくるとしています。

計画スケジュール
現在想定される工事スケジュールは、以下のようになっています。

札幌市の事業ページは2025年10月更新のまま。計画建物は変更の可能性も
札幌市の事業ページ(2025年10月6日更新)には、延床面積約386,700㎡の従来の計画が載っており、2025年9月に本体の除却工事に着手したと記されています。見直し計画に必要な都市計画の変更は、手続きが進められている段階です。市のページには、計画建物は現時点のイメージで、今後の協議・検討で変更となる可能性があるとも書かれています。
札幌駅周辺は、再開発で姿が大きく変わっていくエリアです。現在は2038年度末頃といわれる新幹線札幌駅の開業に向けて、周辺では様々な工事が進められていきます。完成はまだ先ですが、今の駅前の姿を見ておくのも一つの楽しみ方です。次の札幌旅行では、駅前広場から再開発の工事の進み具合をのぞいてみてはいかがでしょうか。
鉄道チャンネル編集部
(旅とおでかけ!鉄道チャンネル)