新宿西口再開発や新型車両の導入、ロマンスカーの新造で「営業利益800億円・ROE10%」達成へ! 小田急が仕掛ける次世代の鉄道ビジネスとは

小田急電鉄が発表した中期経営計画によると、2030年度に営業利益800億円以上、ROE(自己資本利益率)10%以上の達成という高い目標を設定しました。これを牽引するのが、箱根・湘南エリアを中心とした「稼ぐ観光モデル」への転換と、新宿駅西口の大規模再開発です。さらに、2029年3月を目標とした新型ロマンスカーの新造や、持続可能な鉄道インフラ維持に向けた運賃改定の検討も明らかになっています。インバウンド需要を取り込み、人口減少時代を生き抜く小田急の新たな成長戦略を詳しく紐解きます。
箱根・湘南エリアを「稼ぐ観光モデル」へ

小田急電鉄は、2030年度の連結財務目標として営業利益800億円以上、ROE10%以上を掲げています。この成長を支える大きな柱が、観光(特にインバウンド)需要の積極的な取り込みです。
観光領域においては、2030年度に観光収益1,200億円、営業利益150億円を目指す数値目標を設定しました。日本有数の観光地である箱根・湘南エリアでは、既存ホテルのリニューアルや高付加価値ホテルの新規開発を集中的に進めます。これにより、単なる移動手段の提供にとどまらず、滞在そのものの価値を高めて客単価を引き上げる方針です。
箱根・湘南の眺望を楽しめる新型車両を導入

4月19日に運転を開始した江ノ電の新型車両「700形」(画像:江ノ島電鉄)
箱根・湘南といった観光拠点の収益拡大や沿線住民の快適な移動のため、江ノ電は20年ぶりに新型車両を導入。大きな前面ガラスを採用した開放感のある外観が特徴で、海側を向いたクロスシートに座り、沿線の景色を眺めながら移動を楽しめます。
【参考】江ノ電20年ぶりの新型「700形」デビュー【2026年4月】湘南の海を望む“海側クロスシート”&大パノラマの前面展望(※2026年4月掲載) https://tetsudo-ch.com/13027447.html

2028年度に導入を予定している箱根登山電車の新型車両「4000形」(画像:小田急箱根)
また、箱根登山電車は新型車両「4000形」を2028年度に導入します。2028年1月に運行終了予定のモハ100形の後継車両として、14年ぶりの新型車両となり、こちらも大きな窓や、窓向きの角度で景色が見やすい座席を採用したことが特徴。箱根の伝統工芸「寄木細工」の意匠を取り入れたデザインも、観光客の心を掴みそうです。
【参考】箱根登山電車、14年ぶりの新型車両「4000形」2028年導入へ 引退する100形の後継、初の「流面形」デザイン(※2025年12月掲載) https://tetsudo-ch.com/13019477.html
新型ロマンスカーを導入 移動時間を楽しく快適に

鉄道ファンにとって見逃せないのが、新型ロマンスカーの登場です。2029年3月には、展望席や多彩な座席を提供する新型ロマンスカーが導入される予定です。移動空間の付加価値を飛躍的に高めることで、特急の魅力と利便性がさらに向上します。
【参考】小田急「新型ロマンスカー80000形」2029年デビューへ、新宿駅の巨大再開発や3000形AI防犯カメラの導入など、2026年度設備投資586億円(※2026年5月掲載) https://tetsudo-ch.com/13028818.html
沿線の観光も強化

小田急線沿線には箱根や湘南以外にも、丹沢や大山といった国内外の観光需要を見込めるエリアがあります。また、小田急グループの東海バスが、人気の伊豆半島エリアを幅広くカバーしています。こうしたエリアの周遊に特化した交通商品やガイドツアーなどの企画・販売にも注力しています。
【参考】小田急の新提案「駅~貸し切りタクシー利用」で “神奈川の酒蔵を巡るツアー” 全6コース、駅から手ぶらで楽しむ 周辺観光+日本酒 の旅(※2026年5月掲載) https://tetsudo-ch.com/13028602.html
新宿駅西口開発が本格化!「インバウンド観光のハブ」へ

小田急電鉄が掲げる成長軸「沿線まちづくり×観光」の最重要拠点となるのが、現在大規模な工事が進む新宿駅西口地区開発計画。2022年に解体が着工し、現在は新築工事が進行中。2029年の竣工、そして2030年度の開業を目指しています。
新たに誕生するのは、現在の新宿エリアで最も高い「東京都庁舎(高さ約243メートル)」よりも高い約260メートル・地上48階建ての超高層ビル。地上ホーム階と直結し、甲州街道からの景観が大きく変わることになります。
【参考】世界一の利用者数「新宿駅」西口駅前広場がこんなに変わる! “人中心の都市空間”に向け東京都が再整備計画を発表(※2025年7月掲載) https://tetsudo-ch.com/13005465.html
6月10日、新宿駅前に「Shinjuku Future Gallery」オープン!

この開発にともない、一般来街者向けの情報発信拠点「Shinjuku Future Gallery」を6月10日、新宿駅前にオープンする予定で、オフィスリーシングも開始しています。小田急は、新宿を日本一の観光ハブに進化させ、世界中からの訪日外国人を強力に誘引。そこから箱根や湘南といった沿線の観光地へ送客することで、グループ全体で約100億円の利益貢献を目指しています。
持続可能な交通インフラに向けた運賃改定の意義

観光地を盛り上げ、再開発計画を進めるにあたり、継続的な利益の創出が必要です。また、安全・防災対策の強化や持続可能な運営体制を整え、交通事業を持続的に進化させるため、小田急は2028年頃を目途に、鉄道運賃改定(値上げ)の認可申請に向けた検討を進めています。
運賃改定で私たちの乗車体験はどう変わる?
運賃の改定(値上げ)と聞くと負担増のイメージが先行しがちですが、利用者への還元が明確に計画されています。得られた収益は、新宿駅をはじめとする主要駅の混雑緩和、全駅へのホームドア設置の加速、そしてAI防犯カメラを備えた新型車両の導入など、日々の「安全性と快適性の向上」にダイレクトに投資されます。つまり、私たちが支払う運賃が、より遅延が少なく、より安全な小田急線へと生まれ変わるための「未来へのチケット」になるということです。
高さ260メートルの超高層ビルがそびえ立つ未来の新宿駅。そして、新型ロマンスカーの車窓から眺める、新しい箱根・湘南の景色。小田急が描く壮大な未来図は、すでに動き出しています。
日々変わりゆく沿線の風景の「今」を目に焼き付けに、今度の週末は小田急線で出かけてみませんか?
(TOP画像:鉄道チャンネル)
鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
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