アメリカ、ワシントンDCから北東へ60キロ。メリーランド州ボルチモアを行く地下鉄に、日立の新たな車両が走り出します。

日立製作所鉄道システム事業グループの日立レールイタリア社とアンサルドSTS社による、日立アンサルド・ボルチモア・レール・パートナーズ社は、米国メリーランド州交通局(Maryland Transit Administration) から、ボルチモア地下鉄向け車両78両とCBTC信号システムを、4億50万ドル(約450億円)で受注。

今回の受注でアンサルドSTS社は、新しいCBTCシステムを、このメリーランド州交通局の15.5マイル(約25km)の既設路線に導入。世界各地でCBTCシステムを提供してきたアンサルドSTS社としては、今回の受注は北米最大規模のもので、「主要な北米のCBTCプロバイダーとして認識される重要なマイルストーン」という位置づけです。

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車両はステンレス製。先頭部分はファイバーグラス製で、LEDを備え付けた革新的なデザインに。2両を最小基本編成とし、必要に応じて編成数をアレンジ可能。座席数は76席で、乗車定員は196人。床構造は、北米の鉄道車両燃焼規格130に適合し、30分間以上の耐火性を保証。火災時の燃焼・発煙抑制規準を満たす材料を採用しています。

また、高い保守性を維持しつつ、エネルギー消費量削減のための軽量化を実現。車両はすべて動力車とし、IGBTインバータを搭載します。

内装や座席レイアウト、エアコン、照明システムなどは、Americans with Disabilities Act(障がいを持つアメリカ人法)の利便性・移動性に対する要件を満たしています。

さらにこの形式には、地上・車上間の通信システム、最新の旅客案内システム、Wi-Fi接続などを装備し、最高水準の統合監視システムを運転台に備えています。

このボルチモア地下鉄向け新型車両は、日立のマイアミ工場で製造され、初期型車両は2021年に登場する予定。現在、同工場では、フロリダ州マイアミ・デイド郡向け車両を製造中です。