川崎重工業と三菱商事は、バングラデシュ初の都市高速鉄道(MRT)6号線向けステンレス車両144両および車両基地設備を、ダッカ都市交通会社(Dhaka Mass Transit Company Limited:DMTCL)から受注。「今回の受注を機に、今後もバングラデシュでの鉄道車両ビジネスを積極的に展開。インフラ整備の一環として都市交通建設計画がすすむ開発途上諸国での鉄道整備を通じ、経済および社会の発展に貢献していく」と両社。

川崎重工が供給する車両は、軽量・高耐久性を特長とする20m級ステンレス製車両。室内用CCTVカメラに加え、ワンマン運転時に乗降客やプラットフォームの状況を確認するための車外CCTVカメラを装備。客室内の乗客だけでなく、乗降客やプラットフォーム上の安全にも配慮した設計です。また、大容量空調装置を1両につき2台搭載し、高温多湿の現地環境で快適性を向上させます。

今回の受注・契約で、川崎重工はプロジェクト全般管理、車両・車両基地設備の設計・製造・試験・納入整備・トレーニング・輸送、DMTCL実施による車両・車両基地設備の保守業務の支援などを担当。三菱商事は商務事項の管理、一部車両基地設備の供給を担当します。契約総額は約400億円。

ダッカMRT6号線は、バングラデシュで初めて建設されるMRT。首都ダッカの中心地を南北に結ぶ全長約20km、16駅で構成される全線高架の路線。ダッカ周辺地域を含む都市圏は、人口1500万人を超える世界有数の巨大都市圏で、人口増加にともなう交通量の増大などから、慢性的な渋滞が社会問題に。

この6号線の開通により、道路交通からの交通手段の転換をはかり、渋滞緩和による都市利便性の向上、経済損失の解消、温室効果ガスの削減などが期待されています。

また日本政府は、インフラ輸出戦略のもと、計画策定段階から一貫して独立行政法人国際協力機構(JICA)によるバングラデシュ政府の支援を実施。6号線は、JICAが、同政府との間で結んだインフラ整備支援に関する円借款契約により建設が進んでいます。現在ダッカでは、6号線以外のMRT建設も計画中。経済発展と都市化の進展により、川重は「今後MRT車両の需要が継続的に増加すると期待されている」と伝えています。

契約調印式。左が川崎重工 小河原誠常務取締役・車両カンパニープレジデント、右がDMTCL・Md.Aftabuddin Talukder(Managing Director)