哀愁と現実をのせて走る700系、のぞみ398号【実況】
「忘れないでよ! 冷凍庫この日のために空けといたんだから!」
だいじょうぶだよ。ちゃんと運んでるよ。酔っ払ってるけど。
のぞみ398号、東京行き。こわい妻の指示にしたがい、551の豚まん12個を運んでくれてるのは、700系。
700系。Nがつかない700系。ふっくらカモノハシ顔の新幹線。
新大阪で551チルドを3箱、並んで買い、のりばへと急ぐ。
月曜日の17時台。出張組で混雑するコンコース。こういうときは駅員に聞いちゃう。
「すぐに出る新大阪発は?」と。
「56分の26番ですね」とJR東海の人が教えてくれる。
それを信じて26番のりばへといく。のぞみ398号の自由席の空席を探して、窓際に座る。ビールのむなら窓際でいいじゃん!って自分でつっこんで。
シートの色や照明が、いつもと違う。N700系じゃなくて、カモノハシの700系だった。
コンセントもWi-Fiもない。まいいや、って感じで缶ビールをあける。
走りも違う。ゴロゴロゴロ……という転がらないなにかが感じて、車内もちょっと暗い。左右にぶるぶると震える………。
でもこれが、700系だ。思い出した。そんな違和感を覚えながらも、ヒトは疲れてると眠る。
気づくと、名古屋。となりにスーツの若いビジネスマンが座った。
ちらっとみるとExcelを入力しだす。
Toquinhoを聞きながら流れる車窓をみて、ちらっととなりをみる酔っぱらい。通路側でExcelを叩くガチビジネスマン。
ぶるぶる揺れながら、700系のぞみ398号はひたすら東へ。トンネルを抜けると、もう熱海かな……。