上り764列車は15:35に千頭を出発。乗っていない車両は荷物室のついた1号車の「オハニ36 7」だけなのだが座席数が少ない上に珍しいということもあって何度もウロウロするが座席が取れない。次善の策で内装が木製の「オハ35 22」で新金谷に向かう。進行方向右の車窓。

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15:49に駿河徳山に停車した後、16:02に下泉で列車交換。下り普通列車は元・南海高野線の21000系電車。

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次の停車駅は家山。トンネルも数カ所ある。

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第一橋梁。鉄橋がカーブしているので内側から先頭を走る”小柄”なE101がよく見える。

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川面を白鷺が飛ぶ。

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こんなところにも撮影の人たち。

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緑の美しい茶畑が広がる。

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ここにもカメラを持った人々が列車を狙っている。

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今回最も人数の多かった撮影ポイント。50人くらいいる。

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家山で停車。テレビカー(元・京阪本線の特急車)の文字が読める。

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次の停車駅は福用。16:22、ここで7分停車。

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ホーム上に貼ってあった。赤い靴履いてます。

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駅舎の外に出てみる。

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時刻表があった。この時間16時台は列車運行がない。

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福用を出発した764列車は終点新金谷を目指す。あらあらここにもカメラマン。

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これで本日ここを通過するのは4回目だがこの消防署(島田市消防本部金谷消防署)の建物が気になる。お城とか宮殿などのイメージなのかしら。

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17:00新金谷に到着。最後の下り765列車は30分後に発車なので駅から出て転車台に向かう。

午前中にホームの端から転車台の上にC12164が置かれているのを見た。このC12164は昭和48年(1973)静態保存用で大井川鐵道に来たが昭和62年(1987)に動態復元された。しかしATS取り付け費用が足らず平成17年(2005)から休車扱いであったが経年劣化が進み運転再開を断念。平成23年(2011)に新設された新金谷駅の転車台展示用となっている。

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新金谷駅の転車台は金谷方面への線路に沿った駐車場の奥にあって大鐵のバスがズラッと並んでいるのを眺めながら歩いて行く。

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転車台の上には午前中にホームから見たC12164がそのまま置かれていた。この転車台はSL急行が運転される時には実際にSLの方向転換に用いられているので、その間この蒸気機関車は自力で退避するのだろうか。合理的に考えればSL急行を運転する蒸気機関車が押し出して、方向を転換した後、また牽引して元に戻すのかもしれない。残念ながら現場を見ていないので不明だ。

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転車台の奥に電気機関車E102が見えた。前面窓の上に特徴的な庇がある。

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更に奥に蒸気機関車C11 227があった。大井川鐵道で昭和51年(1976)に日本で最初の動態保存観光運転を開始した記念すべき車両だ。2014ー2015年には「きかんしゃトーマス」の意匠を施して運転された。今年の夏休みも「きかんしゃトーマス」は予定されているのでC11 227は蝉の合唱と子供達の歓声に包まれて走るのだろう。

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C11 227の手前には本日のSL急行で活躍していたC108が体を休めていた。

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ホームに戻る。先ほど列車交換したSL急行の補機をしていた電気機関車ED500形501と客車が駐まっている。

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ED500形501は昭和31年(1956)日立製作所で2両製作され、大阪窯業セメント伊吹工場専用線で使用されていたもの。平成12年(2000)に大井川鐵道にやってきた2両は平成17年(2005)中部国際空港工事で三岐鉄道に渡る。501は貸し出し、502は売却であった。空港の工事終了後501は大井川鐵道に戻り、502は廃車解体された。

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この後出発する下り765列車の横に客車が駐まっている。手前の車両は蒸気機関車の煤煙で汚れてしまった様に見える。

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ホームの金谷川側には車庫がある。昨年から運用が始まった元・東急7200形電車が見えた。いったんは十和田観光電鉄に譲渡され両運転台ワンマン仕様に改造されている。十和田観光電鉄線廃止に伴い平成26年(2014)に大井川鐵道にやってきた新顔である。

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最後の下り765列車は17:30に新金谷を出発。結局1号車「オハニ36 7」の乗客は誰も動かず筆者はそのまま「オハ35 22」に乗り続けることになった。

発車後すぐに夕食の弁当が配布された。今度はガツガツ食べずに撮影する。

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のんびりと弁当を食べながら古い客車に揺られているのも良いものである。17:45神尾駅に停車。

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すっかり夕暮れになってきたが鯉のぼりは風に泳いでいた。

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家山に18:02停車。下泉は18:22、駿河徳山に18:38、そして終点の千頭には18:51に着いた。既にとっぷりと日は暮れている。

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昼間と同じ様に電気機関車E101が新金谷側先頭に付け替えられているのだが、残念ながら筆者のコンデジは夜景が苦手で上手く写らない。

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千頭駅前広場にも人影はなく近隣の商店もほとんど閉まってしまった後だ。

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とうとう最後まで乗車できなかった「オハニ36 7」の車内。この編成では唯一の白熱灯による車内照明が良い感じだ。席が空いている様に見えるが皆さんしっかり荷物を置いている。

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日本国有鉄道案内図。現在三セクになっている路線がいくつも載っている。

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筆者の乗る「オハ35 22」の車内。木造で風情たっぷり。

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いよいよ新金谷に向けてイベント最終の上り766列車が出発する。外は雨が降り出してきた。

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19:27に千頭を出た766列車は19:39駿河徳山、19:51下泉、20:12家山、20:37と停車して20:45終点の新金谷に到着。雨がかなり降っている。臨時の金谷行が20:50に出発なので慌てて乗り込む。金谷には20:54着。JR金谷駅に移動し20:59発の東海道本線三島行に乗った。33分で静岡に着き、21:37発の東海道新幹線ひかり482号で22:40に東京。中央線に乗り換えて23:29に武蔵小金井に到着。鉄道に乗るのが大好きと言っても限度はあるよなぁ、とか呟きながら傘をさして帰宅した。

本日の成果はこれ!

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途中にドカ停(長時間の停車)を挟んで10時間57分の乗車だった。しかし移動距離は223.2kmなので武蔵小金井ー金谷間(中央線・東京駅・東海道本線経由)242.0kmよりも短い。

帰路(新金谷ー武蔵小金井)にかかった時間が2時間39分、朝は3時間38分かかって新金谷まで来たので6時間17分である

つまり本日はトータルで

17時間14分乗車して707.2kmを移動した

ことになる。これは個人的にだが1日当たりの乗車時間最長記録だ。

距離なら2012年12月16日に武蔵小金井から東京ー東海道本線経由で京都、嵯峨野線、山陰線、播但線で姫路まで15時間46分かけて727.4kmを移動している。

日本一乗車時間の長い北海道根室本線滝川発2429D列車にも2014年7月30日に乗った。この列車は8時間25分かけて308.4kmを走った。

例外的に2014年12月22日に東京駅から「ムーンライトながら」に乗って翌日の21:23に博多まで乗ったことがある。この時は23時間17分乗車で1204kmを移動した。

いずれにしても長い時間ゴトゴトと列車に乗ることは楽しい。しかしもう一度このイベントに参加するか否かは微妙だなぁ。

次回は大井川鐵道のSL動態保存観光運転のキーマンとなった白井昭氏のことを取り上げてこの記事のまとめにしたい。

大井川鐵道「長距離鈍行列車ツアー」その4に続く。

(写真・記事/住田至朗)