冬フェスへむけて膨張しはじめている幕張メッセに、SEKAI NO OWARI と WANIMA が降臨! 2万人が歌って笑って泣いて叫んだ。

KDDIとぴあによるエンターテイメント・サ―ビス「uP!!!」は、ことし5周年。

そのuP!!!史上最大級の音楽イベント「uP!!!FESTIVAL 2018~SEKAI NO OWARI×WANIMA~」(@幕張メッセ)が、またもめちゃめちゃ盛り上がった。

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今回は、その圧倒的パフォーマンスをとらえた画像(Photo= Kamiyama Yosuke)と、ことばひとことひとことをキャッチアップしてくれた専門ライター(Text= Yoshiba Saori)による、ライブレポートを!

WANIMA、セカオワ好きをしょっぱなからロック!

セットリスト
【WANIMA】
01. オドルヨル
02. Japanese Pride
03. つづくもの
04. Hey Lady
05. THANX
06. りんどう
07. SNOW
08. ともに
09. いいから
10. シグナル
11. BIG UP

今回は、SEKAI NO OWARIとWANIMAの2組を迎えたuP!!!史上最大規模のスペシャルなフェス。なかなかほかでは見れない組み合わせのツーマン。

かつことしは、SEKAI NO OWARIは壮大でエンタテインメントな野外ライブ「INSOMNIA TRAIN」を全国ツアーで展開し、WANIMAは7万人を動員したメットライフドーム2デイズを行なうなど、両バンドともに大きなスケールでのライブを成功させてきたバンド同士。

チケットはもちろん完売で、開演前から約2万人の期待と熱気がメッセ内に立ち込めている。

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まず会場を沸かせたのは、WANIMAの3人。SEで「JUICE UP!!のテーマ」が流れると、会場が大歓声と手拍子で満ちる。

ステージへとダッシュで飛び込んできたのは、ピエロの面と赤いアフロヘアという SEKAI NO OWARI の DJ LOVEスタイルの3人!! この姿に、歓声が一段と大きくなる。

対バン相手へのリスペクトと、WANIMA を初めて見るセカオワ・ファンの心もガッチリとつかむ、じつに3人らしいフレンドリーなアプローチだ。

「もしかしたらユーチューバーじゃなかね?」

そして頭から、WANIMAコール、セカオワコールを巻き起こして、「“uP!!! FESTIVAL 2018~SEKAI NO OWARI×WANIMA”×みんなー開催しまーす!」とKENTA(Vo/Ba)が叫び、「オドルヨル」へと突入。

この開催宣言を合図に、観客は終始大合唱となっていく。FUJI(Dr/Cho)のダイナミックなビート、KO-SHIN(Gt/Cho)のアグレッシヴなギタープレイで、フロア一面をジャンプさせたかと思うと、KENTAはマイクをつかんでステージを駆け回り、「おい、幕張。ちょっとおとなしいんじゃない?」とあおって、ジャンプの高さも、シンガロングのボリュームも、グイグイと上昇させていく。

続く「Japanese Pride」ではさらに、フロアの熱を更新。のっけからテンションはマックスだ。

「とうとうSEKAI NO OWARIと WANIMAと、ここにいるみんなとのヤバイヤバイ1日がはじまりました。WANIMAのことを初めて見る方も多いと思います」

「“あの3人組、もしかしたらユーチューバーじゃなかね?”と思っている人もいると思うので、自己紹介させてください。東京都在住熊本出身、TONAI NO OYAJIです!いらっしゃいませー」と、つかみの挨拶でもしっかりと笑いを起こしていくKENTA。

「全力で歌うけん、全力で聴いてください」

会場はすっかり温まっているが、「2万人いるから、会場をひとつにしたいけん。みんなで、ウェーブします?」(KENTA)と、みっちりと会場を埋めた2万人で、“3、2、1”でダイナミックにウェーブを成功させて、さらに強力な一体感を生み出していく。

フロアを余すことなく盛り上げていくこの腕っ節は、ライブバンドならでは。

ぐっと熱気を束ねたところで、中盤戦「つづくもの」「Hey Lady」「THANX」と大合唱チューンを連投! 絶え間なく歌い続ける観客の熱量も凄まじく、会場に響きわたる歌声に圧倒される。

「とんでもないですね」と、KENTAも思わず声を上げるほどだ。スピーディでパンキッシュな曲にフロアはもみくちゃで汗だくな状態。

そんなヒートアップし続ける観客に、「りんどう」「SNOW」と、歌心のある曲を聴かせる。「りんどう」についてKENTAは、「この曲はCDにしてないけど、ずっと現場で大切に歌い続けている曲です。全力で歌うけん、全力で聴いてください」と語る。

会場には自然と、無数のスマホのライトが灯っていき、気づけばフロア一面が美しい光の絨毯と化している。

胸を打つ、エモーショナルな歌を聴かせられるのも WANIMA の最高の武器。

最高の笑顔、変顔、爆音でセカオワへ

しかしその余韻に浸る間も与えず、再び「ともに」「いいから」と、コール&レスポンスと WANIMA & セカオワ・コールをあおり、サビからコーラスまでシンガロングを指揮し、下ネタも織り交ぜつつ、観客の声をからしていく勢いでまい進する WANIMA。

「みんなめちゃくちゃやんか! 一旦深呼吸する? 汗くさ~」(KENTA)と、観客の熱気とスメルを吸い込んだ3人は、ラスト「シグナル」「BIG UP」と大きなうねりを生み出していく。

何より最高なのは、大きなスクリーンに映し出される3人それぞれ、どんなタイミングでも最高の笑顔だったり、変顔だったり、と死角なしで魅せてくれること。

2万人のアリーナを相手にしていつつも、ステージとの距離をまったく感じさせないフラットな感覚が最高だ。

見知らぬ隣の子とハイタッチしたり、肩を組んで歌う、そのなかに3人もいるようなフレンドリーなライブで、つづくSEKAI NO OWARIへとバトンを渡した。

明るく力強く一体化していくセカオワ

セットリスト
【SEKAI NO OWARI】
01.スターライトパレード
02. RAIN
03. Re:set
04. 炎と森のカーニバル
05. ANTI-HERO
06. Death Disco
07. イルミネーション
08. Silent Night
09. SOS
10. スターゲイザー
11. RPG
Encore…Dragon Night

メンバーがMCでも言っていたが、SEKAI NO OWARI自身、こうした対バン形式、しかもツーマンはかなりレアなライブ。

バンドとしてもまったく違った個性を持つもの同士が起こすだろうケミストリーに、暗転と同時に会場を揺るがすような歓声がわき起こり、手拍子がこだまする。

この心地好い緊張感に、「スターライトパレード」でファンタジックな魔法をかけて、明るく力強く一体化していくセカオワ。

アッパーなサウンドから一転して、メロウなピアノと歌で紡ぎあげていく「RAIN」へと突入する。

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抑えた照明で、濃密でエモーショナルな空間をうみ、見上げると歌詞に合わせて虹色の照明がステージにかかっている。

自分の歌声に観客の声が重なっていくのを、Fukaseは静かな笑顔で見つめる。

かと思うと、「Re:set」では、ファットなダンスビートに無機質なヴォーカルを乗せ、攻撃的なサウンドでフロアを揺らしていく。

ページをめくる旅に、新しい物語に観客をダイブさせていくかのような展開。

冒頭からストイックに、セカオワのサウンド世界

野外ツアーの「INSOMNIA TRAIN」など、巨大なアトラクションのような舞台装置や綿密に構築された世界観で魅せるライブを行なう、セカオワ。

きょうのステージは、そんなセカオワにとってはかなりミニマルな演出。そのぶん、音楽の力を存分にふるって、1曲1曲、濃厚な世界を味わせてくれる。

冒頭からストイックに、セカオワのサウンド世界を築き上げていった4人だが、MCでは超フレンドリー。

「WANIMAさん、すごかったね。私ごとで忙しくさせていただいていて、疲れているときもあったんですけど、さっき WANIMA さんのライブみたら、元気でました」と Nakajin が口火を切ると、「下ネタもあるしね」とFukase。

「下ネタもすごいですけど、ちゃんとした方々なんですよ。きょう、楽屋に入ったら(WANIMAからの)お手紙があって」と Nakajin は実際にその手紙を観客にもお披露目。

黒塗りしてあったが、なぜかKO-SHINの実家の電話番号も書いてあったりとだいぶお茶目な手紙だったようだ。

「ところでLOVEさん、WANIMAさんのステージに出てませんでした?」というNakajinに、DJ LOVEは「こんなたくさんの人にイジられて……俺、年上なんだけどな。打ち上げで、冗談で怒ってみようかな」とぼやきつつ「きょうは、WANIMAのみなさんと友だちになれたらと思ってます」と続け、会場の拍手を浴びた。

中盤はさらに、セカオワという型にはまらないバンドの真骨頂を見せる。

神聖さと多幸感とが入り混じった空気へ

Nakajinがギターを太鼓に持ち替え、ポップで陽性の音楽団と化す「炎と森のカーニバル」、そして再びギターを持ったNakajinがファンキーでストリート感溢れるギター・サウンドを聴かせ、Fukaseのエフェクティヴなヴォーカルとのクールに絡んでいく「ANTI-HERO」、さみだれ的なSaoriのピアノにDJ LOVEの強靭なビートや、アコギのカッティングでスリリングに踊らせていく「Death Disco」と変幻自在なサウンドでフロアを掌握。

会場の温度が、ぐっと上がっていって、Fukaseは「汗だくだよ」と口にする。後半のMCでは、なかなか対バン機会がなくどうしたらいいかわからず、何かお土産を持って行こうと考えたと語った Fukase。

ツアー先で選ぶも考えすぎて選びきれず、Nakajinに選んでもらったという、微笑ましいエピソードも聞かせてくれたが、きょう、挨拶したときにそのお土産を渡し損ねているのだとか。対バン・ライブへの気持ちを、こんな初々しく話してくれるのはなんとも新鮮。

このメンバーのトークでほっこりとした後は、新曲「イルミネーション」と「Silent Night」と冬の曲を2曲、ピアノとヴォーカル、多重感のあるコーラスとのイノセントなハーモニーが美しい「SOS」を響かせる。神聖さと多幸感とが入り混じった空気が会場を包む。

晴れやかに響きわたるこの日にぴったりのアンセム

「スターゲイザー」では、ステージにたくさんのシャボン玉が浮かび、照明にキラキラと反射。

遠目で見ると、ステージが大きなスノードームになったような感じで、重厚なサウンドとその歌の世界が、物語的なムードを引き立てていった。

「きょうはありがとうございました。WANIMAさんがやっているとき、ずっと踊りながら見ていたんですけど。何回も、セカオワ、セカオワって言ってくれて。なんていい人たちなんだろうって、WANIMAさんのことが好きになりました」とSaori。

このイベントが結んだ、両バンドのいい関係性がのぞけたところでラストに聴かせたのは「RPG」。

“僕らはもう一人じゃない”。そんな観客の大合唱がひときわ大きく、晴れやかに響きわたるこの日にぴったりのアンセム。

WANIMA でも SEKAI NO OWARI でも、観客は歌い通しだ。こんなフェスもなかなか、ない。

アンコールに立ち「Dragon Night」を聴かせたSEKAI NO OWARIは、最後に写真撮影をしようとWANIMAの3人を改めてステージへと呼び込む。

ここはお約束とばかりに、DJ LOVEスタイルで登場したWANIMAの3人に拍手喝采が起こり、フロア一面に掲げられたタオルと笑顔とでスペシャルなフェスを締めくくった。