koramu
良い季節になりました。のんびりと気ままな旅をしてみたいな、と考えている貴方に。オススメしたい本があります。

『鉄道ひとり旅入門』今尾恵介著 ちくまプリマー新書

気の置けない友だちと旅行するのは楽しいものです。でも、どうしても相手に気を使ってしまい、自分のしたいことをちょっと我慢しちゃいますよね。

この際ですから、思い切って「ひとり旅」してみませんか?

スケジュールも旅先も滞在も観光も、何よりも食べたいモノやタイミングも自分勝手に気ままに決めたり気が変わったり、自由自在です。
自分のしたいコトだけして、見たいモノだけ見て、気ままに旅をするのってホントに良いものですよ。

でもその分、自由であることにはリスクもあります。旅という空間を自分で考え、自分で決めるのです。大袈裟に言えば「より広い視野とクールな判断力」を鍛えるチャンスでもあります。

さて、この本には鉄道を自分なりに楽しむ旅行、つまり「オリジナルな鉄道旅行」を組み立てるための基本が書かれています。

第1章は準備篇、旅に出る前の準備です。これはとても大切な部分です。

大荷物ては「気ままな旅」という感じがしませんよね。でも、旅先も「日常の延長」なのです。貴方が最低限こだわりたい習慣をいかにコンパクトに旅行中にも維持するか。この部分で手を抜くと自分らしい旅を楽しむことができなくなってしまうかもしれません。オーバーな言い方をすれば「素の自分」を見つめ直すことにもなるのではないでしょうか。

続く第2章がこの本のメインです。全部で220ページの半分以上、130ページが「鉄道車窓のみどころ」と題され車窓からの素晴らしい風景やとっておきの沿線紀行にあてられています。

この部分を読むととにかくその車窓が見たくてたまらなくなります。著者は地図の研究が専門という方ですから、地図から得た情報、地形から読み取れる地球の歴史など壮大で心躍る景色を上手に案内してくれます。

こーいう予備知識があると漠然と車窓を眺めているのとはひと味違う楽しみがあります。でも、こーいう景色を見ると友達に自慢したくなっちゃうかもしれませんね。コンパクトなデジカメで写真を撮っておけば何度も懐かしく眺めることもできます。

第3章の実践篇は著者が今までのひとり旅を振り返ったものです。もう少しこうすればよかったかな・・・という反省点を積み重ねて行くことがひとり旅達人への道なのですね。

このカジュアルな新書を読んでひとり旅に思いを膨らませてみることから始めてみませんか。

(写真・記事/住田至朗)