オレも松本人志みたいに「手ぶらの美学」を語ってみたい―――。

そう思って6年前、「重いし使いこなせない」ってことで、フルサイズ一眼レフとその周辺機器をすべて売っぱらった。

6000円で買った名刺サイズの中古カメラでずっと過ごしてきたけど、ついにことし1月、病気が再発した。

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キヤノン EOS Kiss F の中古ボディを7000円で買ってしまったら、ドロ沼。

登場当時「最軽量」「スパルタン」「誰が買うんだコレ」などといわれた“F”。

これにどんなレンズをつけようか。

ヤフオク、メルカリ、キタムラ、あらゆるサイトをウォッチしては、安い順に並び替え、時間泥棒にドロ沼。

東京へ出張すれば、現在地から「ハードオフ」と地図検索し、ジャンク品コーナーのウィンドーをジロジロしてドロ沼。

株価が乱高下しているっていうこの時期に、機会損失、機会損失、機会損失、機会損失ーーーーーーーーーっ。

で、で、で、見つけた! 都内のハードオフで「EF 28-105 F3.5-4.5 USM」。

ニッパチヒャクゴ。1型の後期型で絞り羽根7枚。普段使いにいい幅、ちょっと重いけどサイズも小さくて。

「ジャンク品」「チリあり」と記されて、2160円!

「いま持ってるボディで動作確認させてもらっていいですか?」「はい、ごゆっくりどうぞ」

“F”を手にしてから1週間、ハードオフを10軒以上まわった。

「合計1万円以上はぶっ込まない」と決めていたので、「カビなし」以外のジャンクレンズを片っ端からつけてみた。

ウイ、ウイ、ウイ、ウイ……とピントが決まらず挙動不審なレンズや、「おーい!」となんども声をかけてもまったく返事がないレンズにも出会った。

ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失、ヤフオク、メルカリ、キタムラ、ハードオフ、機会損失……。

そんな1週間がたったとき、いきなり、ピタッと決まるニッパチヒャクゴに出会ってしまった!

「じゃあ、これ、くだっさいっ!」「はい、じゃあ、レジへどうぞ」

7000円のボディに、2000円のレンズ。

ハードオフを出て、焦る気持ちをおさえながら、Fに28-105をつけてみる。

クリーニングもせず、値札シールが付いたまま。カツッと。

これで、どんな世界が映せるか――――。

これから、【1万レフ】で切り取った、ジャンクな絵を、連載していく。