キュウソネコカミのファントムヴァイブレーションに出てくる、スマホはもはや俺の臓器というフレーズを借りれば、「グリーン車はもはやオレの臓器」だ。

駅ビルオープン企画仕事の途中、どうしても逗子へむかう仕事が重なった。

「きょうの15時までに企画を5本出して」というメールがその朝、入った。

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「じゃあちょっと一回、抜けますね」と、ノートパソコンを持って現場を離れる。

逗子行きの総武快速線・横須賀線電車に飛び乗り……いやそんなかっこいい飛び乗り方はできない。

Suicaグリーン券を、ホーム上でピッとやって、グリーン車へ。

ラッシュ時間帯をかろうじて抜けたグリーン車は、スーツ姿と旅行気分の人たちが半々。乗車率は4割ほど。

ノートパソコンは、脚上派。グリーン車の座席テーブルは使わない。

「Wi-Fiが入ればもっといいのに」と思いながら、テザリングでウェブを開きながら、カタカタ、カタカタ……。

ドーンと窓が鳴ったと思ったら、成田エクスプレス先行の市川駅。地下へ入ったなと思ったら、新日本橋駅。どかっと人が乗ってきたなと思ったら東京駅。

新鶴見機関区の電気機関車に挨拶することも忘れて、カタカタ、カタカタ……。

千葉から逗子へ、2時間。東京を横断し、県境を2回超えて、特急列車と同じような車内空間で、980円。

「カフェでコーヒーと仕事」なんてやったことがない身、980円は安いか高いかわからないけど、いい。

JR東日本の普通列車グリーン車は、いまきてる。中央線にもくる。

逗子での仕事、滞在時間1時間半。再び逗子駅に戻ると、上総一ノ宮という行き先を灯すE217系が、出発準備中。

……すげえなE217。毎日毎日、千葉東京神奈川を、行ったり来たりしてるんだ。自分の無粋な動きよりも、そっちが気になった。