JR北海道は3月29日、2019年度事業計画を発表しました。

8つの基本方針

事業の基本方針としては「持続可能な交通体系の構築」「安全輸送の確保」「北海道新幹線の取り組み」「コンプライアンスの徹底に向けた取り組み」「人材の育成と組織の活性化」「経営基盤の強化」「お客様満足度の向上」「社会への情報発信と地域貢献・連携、環境問題への取り組み」を掲げています。本記事では特に重要な方針について確認していきます。

■持続可能な交通体系の構築
先日の石勝線夕張支線廃線を記憶にとどめている方も多いことでしょう。北海道には他にもJR北海道単独では維持することが困難な線区があり、バスなどの他の交通手段への転換を進めるとのことです。

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札沼線北海道医療大学~新十津川間については2020年5月7日に鉄道事業を廃止しバス転換の準備。日高線鵡川~様似間、留萌線深川~留萌間、根室線富良野~新得間などは、最適な公共交通ネットワークに関する協議・ご相談を継続していくことになります。

■安全輸送の確保
2014年にJR北海道が受領した改善・監督命令を踏まえ、「事業改善命令・監督命令による措置を講ずるための計画」「安全投資と修繕に関する5年間の計画」に引き続き取り組んでいきます。

軌道設備についてはPCマクラギ化や橋マクラギの合成マクラギ化、レールの重軌条化等の軌道強化を図るほかロングレール化を実施。

老朽化の進むキハ40形気動車の更新を進めるとともに261系特急気動車を新製投入、731系電車などの重要機器取り換え工事を推進する予定です。

■経営基盤の強化
鉄道事業に関しては北海道胆振東部地震からの回復に向けた取り組みを継続、さらに快速「エアポート」の毎時5本化による輸送力増強を実施します。他にも航空会社とタイアップした商品や「えきねっと」の早期申し込み割引などを使い、空席を極力減らし収益を上げるイールドマネジメントに取り組みます。

富良野・美瑛ノロッコ号や30周年を迎えるくしろ湿原ノロッコ号を運行、さらに他社からの借り受け車両を用いて観光列車の運行に取り込みます。増加が見込まれるインバウンド需要に対応するため「北海道レールパス」をはじめとする各種レールパスの積極的な宣伝展開を図り、プロモーション、SNSを利用したタイムリーな情報発信、グローバルサイトコンテンツの強化を図ります。

開発・関連事業については札幌駅周辺の再開発事業に力を入れるとのこと。用途廃止した社員寮についても賃貸マンションとして貸付を行い、高齢者向け住宅の開発にも着手、運転所跡地での太陽光発電の開発も予定されています。

札幌近郊の駅構内にあるキヨスクは2店舗セブン-イレブンに転換する予定です。更なる多様化に向け、札幌市内にJRインの新規出店準備を本格的に進めていきます。

このような収益確保施策を実施する一方で、「話せる券売機」の設置拡大によるコスト減や資材調達改革による経費削減を進めていく模様です。

鉄道輸送に関する計画

鉄道輸送に関しては、昨年度の北海道肝振東部地震や高速道路の延伸、道内人口の減少により各都市間の輸送は減少傾向にありますが、好調な札幌圏を中心に利便性の向上と輸送力の向上に取り組む模様。JR北海道の今後の動向が気になりますね。