東京大学 生産技術研究所は、3300V級の耐圧があるシリコン絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のスイッチングを、5Vという低電圧のゲート駆動で実証。世界で初めて成功させた。

この実証に取り組んだのは、同研究所の平本俊郎教授、更屋拓哉助手を中心とする研究グループ。

シリコンIGBTは、自動車や鉄道、家電製品、産業機器などに広く用いられているパワートランジスタの一種。

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電力変換効率をより向上させるため、電流密度が大きく損失の小さなパワートランジスタが求められている。

今回の研究では、MOSトランジスタ部の寸法を縮小(スケーリング)した3300V級のシリコンIGBTを、大学のクリーンルームで試作。

通常15Vのゲート駆動電圧を5Vに低減し、IGBTをスイッチングすることに世界で初めて成功。また、電流密度向上(オン損失の低減)を達成し、スイッチング損失も低減できることを実証した。

この成果は、シリコンIGBTのさらなる進化が可能であることを示し、パワーエレクトロニクスの効率改善、さらに増大を続ける電力需要の抑制が期待できる。

さらに、ゲート制御電圧が5Vまで低減できることから、シリコンCMOSディジタル技術をゲート制御回路に使えることで、人工知能(AI)などを利用したインテリジェントな新しいパワーエレクトロニクスに発展することも期待される。