スマートフォンとQRコードで道案内 視覚障がい者向け駅構内ナビゲーションツール「shikAI」体験会レポート

2019.09.08

ナビゲーション音声を頼りに駅構内を移動

2019年8月30日(金)、東京メトロ有楽町線辰巳駅・新木場駅にて、視覚障がい者向け駅構内ナビゲーションシステム「shikAI」のメディア体験会と導入に向けた最終検証報道公開が行われました。

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視覚障がい者向けナビゲーションシステム「shikAI」最終検証を有楽町線新木場駅、辰巳駅で実施
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「shikAI」は駅構内の警告ブロック上に配置したQRコードを、専用アプリ内から起動したスマートフォンのカメラで認識し、音声により進む方向や距離を細かく伝えることで目的地まで案内するナビゲーションシステムです。名称の「shikAI」は日本語の「視界」と「AI」をかけあわせたものですが、今回導入されるのはサービスはあくまでファンクションの一つということで、まだAIは組み込まれていません。

東京メトロ辰巳駅に張り出されたshikAI案内用のポスター

現在でも駅構内には誘導用ブロックなどが設置されていますが、これらは行き先を明確に示せるものではなく、視覚障がい者の方が初めての駅で迷ってしまう、使いにくさが生じてしまうなどの問題点がありました。そこで不慣れな駅でも迷うことなく利用出来るように、スマートフォンとQRコードを組み合わせたナビゲーションシステムが開発されました。

2017年ごろからビーコンを使った実証実験が行われてきましたが、現実的に導入が難しかったことから、QRコードを採用し開発を続行。30%ほど汚れてもデコードできるというQRコードの特性を生かし、9cm×9cmのシールを駅構内に張り付け、案内に使用します。

辰巳駅に張られたQRコード。駅の規模にもよるが、一駅でおよそ1200枚ほど使用しているという

実際に体験してみた。

スマートフォンにインストールされたshikAIのアプリケーションを起動してみます。

画面をタップして行先などを設定
音声の読み上げ機能もついているので、目をつぶったままでも操作できます

昨今では視覚障がい者の方でも使いやすいようにスマートフォンの機能が拡充されており、shikAIのUIも目をつぶったまま画面のダブルタップとスライドで項目を移動させながら使えるようになっています。初めてだったのでちょっと大変でしたが、丁寧にやればわりと簡単に慣れるはず……。

shikAIを起動したら、まず駅構内のQRコードを読み取ります。それから音声案内に沿って画面をスライドさせながら目的地を選択すると、方向と距離が読み上げられます。あとはスマートフォンのカメラを下に向けたまま、案内に沿って歩いていくだけ。歩いていると途中でQRコードを読み込むので、そこでまた方向や距離の音声案内が流れます。

音声はやや早口かな、と感じられましたが、読み上げスピードなどは設定で調整可能。聞き取れなかったときのためにリピート機能もついていますが、うるさい場所だとちょっと聞き取り辛いかも、という印象を受けました。

実際の使用感は……?

shikAIを使って駅間を移動

メディア体験会の後は最終検証が行われ、4名の視覚障がい者の方に新木場~辰巳駅間を移動していただきました。

実際のshikAIの使用感としては、やはり白杖だけの移動より音声案内アプリがあった方がずっと便利だとのことでした。

特に重要なのは距離感。移動距離を視認できない視覚障がい者にとって、距離を読み上げてもらえるのは「とても便利」だそうな。目的地が10m先なのか100m先なのかが事前に分かれば余裕で歩いていけるかそうでないかが分かりますし、階段が上りか下りかで心構えも自ずと変わってきます。

白杖のみだと迷いながら行くことも多いため、目的地を決めさえすれば必ずそこまで連れて行ってくれるのも嬉しい点。距離が分かれば自分の歩幅の間隔を頼りに出来ますし、通知も聞きながらであれば思った通りに曲がり角をすんなり抜けられる。そうした補助システムとして、実験に参加された視覚障がい者の方からの評判は上々のようです。

ゆくゆくはアップルストアでのリリースを検討しているとのこと。ただし弱視や中途失明などの理由で歩行訓練を受けていない方もいらっしゃるので、リリースされてからすぐ使えるようにするのではなく、DL後に訓練用の駅にて訓練→ライセンス交付して使用可能に、といった形を想定しているようです。

記事/写真:一橋正浩


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