駅案内ロボット制作男子にデジタルファブリケーション女子_いまファブラボを活かした工学部がおもしろい!

2019.12.24

自分たちで街にある課題を探し、その解決策を自らCADで設計図を描き、3Dプリンターで試作し、ロボット実機をわずか3か月で制作。しかも第37回日本ロボット学会学術講演会RSNP(Robot Service Network Protocol)コンテストでグッドコンセプト賞を受賞してしまうとか―――。

相当な技術を持った専門家と思いきや、なんと大学3年生の男子3人。↑↑↑の画像がその野本恭平さん、望月遊世さん、宅間駿さん、そして指導教員の平社和也先生。

ここは小田急線 玉川学園前駅から歩いて10分。広大な敷地に8学部16学科の学び場を構える玉川大学。ことし創立90年をむかえる全人教育を教育理念とする玉川大学で、いまとくに工学部エンジニアリングデザイン学科が注目を集めている。

この玉川大学 工学部エンジニアリングデザイン学科に所属する彼らは、視覚障がい者が鉄道駅の利用番線の判別やホーム上で階段を検出するのが難しいこと、混雑時の人の流れに危険を感じていることなどに注目。

「どうにかしてロボット技術で解決できないか」と考え、CADで図面を描き、3Dプリンターで試作し、ロボット実機を3人のチームで制作。『鉄道駅における視覚障がい者のための移動支援ロボット』として日本ロボット学会学術講演会で発表。

彼らが創りあげたロボットは、鉄道各社の駅施設などのバリアフリー状況に依存せず、点字ブロックを誘導ラインとし、視覚障がい者を目的地までの誘導。さらに危険の検知と予告を行い、ケースによっては駅員を呼ぶといったフォローもしてくれる。

学生たちのロボットづくりを加速させる現場は、ファブラボ!

「あと、このロボットがいることで視覚障がい者の存在を周囲に知らせ、手助けや配慮をうながし、周囲の人が能動的に援助を行う『心のバリアフリー』もめざしました」

同じエンジニアリングデザイン学科の3人は、5月ごろにいっしょに課題を探し、9月にはこのロボットをつくってしまったというスピードが、すごい。しかも授業時間外のスキマ時間に、だ!

このロボットづくりのスピードアップに貢献しているのが、玉川大学 工学部エンジニアリングデザイン学科にある「デジタルファブ工房」。

最新のデジタルツールをそろえたファブラボで、彼らはまず 3D CAD を使ってデジタル環境で設計図を描き、3Dプリンターで出力し試作品を造形。

さらにレーザーカッターで素材の切断加工、3Dプロッターでアクリル板やプラスチックへの2D・3D切削加工などを施し、わずか3か月という工期で、この駅案内ロボットをつくってしまった。しかも日本ロボット学会学術講演会「RSNPコンテスト2019」でグッドコンセプト賞を受賞してしまったと。

―――すごい。そしてこのデジタルファブ工房に出入りする学生のなかで、もうひとり、すごい学生がいる。しかもこんどは、女子。

美大志望から、エンジニアリングデザインの世界へ

こんどはこの人。同じく玉川大学 工学部エンジニアリングデザイン学科の2年生、佐野碧さん。

まず驚くのは、彼女はもともと高校時代までごく普通の文系女子で、美術が好きだった。

「もともと文系で、ずっと美術が得意でした。カナダの高校に留学したんですけど、帰国子女枠も使えず、普通に一般入試を受験して入学しました」

「文系だったから数学にはあまり自身がなかったのですが、受験では国語を猛勉強してチャレンジしました」

玉川大学 工学部には、彼女がいるエンジニアリングデザイン学科のほか、情報通信工学科、マネジメントサイエンス学科、ソフトウェアサイエンス学科の4学科と、数学教員養成プログラムがある。

で、ここで注目するのは、なんと! エンジニアリングデザイン学科だけ、数学 or 国語、外国語、理科から2科目を選択して受験できる! だから文系志向の学生にもチャンスがある。佐野碧さんのように。

そこで気になるのは、彼女はなぜ好きな美術ではなく、エンジニアリングデザインを選んだのか、だ。

人により密接なプロダクトのデザイン領域へ

「アート領域よりも、人により密接なプロダクト領域のデザインに興味がわくようになりました」という彼女は、1年次の授業で教えてもらった言葉が印象的だったと振り返る。

「『プロダクト制作のなかで、デザイナーは感覚的な視点を含めて設計図を描き、設計者は数値で組み立てる。その相容れないような2者の通訳として間に立つのがエンジニアリングデザインという領域の人』だって。それを聞いて、わたしもエンジニアリングデザインという領域で活躍したいと思いました」

そんな彼女、なんと3Dプリンターを駆使してつくりあげた、本物そっくりのマカロンが、学内の3Dプリントコンテストで優秀賞を獲得。そして将来はこんな仕事に就きたいと思い始めたという。

「将来は、生理的、心理的、身体的と、いろいろな特性でアプローチしながら商品を開発していく仕事に就きたいと思い始めています」

―――駅案内ロボット制作男子にデジファブ系プロダクトデザイン女子。最新機材が並ぶデジタルファブ工房をベースに動き始めた 玉川大学 工学部エンジニアリングデザイン学科。

実はこのデジタルファブ工房を含む工学部がさらに進化し、近未来的な学びの場が、いま建設のまっただなか!

玉川大学では、最新デジタルマシンを使って自由にものづくりができる「メーカーズルーム」を含む、最新施設「STREAM Hall 2019」が、2020年4月オープンをめざしてガチ建設中。

このメーカーズルームを活かした学生の新たなクリエイティビティにも注目。いまホットなエンジニアリングデザイン学科の最新情報は、公式ホームページでチェックしてみて。

<玉川大学 工学部エンジニアリングデザイン学科>
https://www.tamagawa.ac.jp/college_of_engineering/engineering/
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