【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (4)】幌内駅跡地はSLが走る鉄道ファンのユートピア「三笠鉄道村」

2020.07.26

(前回)【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (3)】いにしえの鉄道の記憶を今に伝えるクロフォード公園(旧三笠駅跡)
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幌内線は幌内炭鉱から採掘された石炭を輸送する目的で建設されました。明治15(1882)年11月13日に全線開通。1987(昭和62)7月13日 に全線が廃止されましたが、街のあちこちに鉄道の記憶をとどめています。幌内線最終話は、鉄道ファンのユートピア「三笠鉄道村」を紹介します。

北海道の鉄道の歴史が一目でわかる「三笠鉄道記念館」

幌内線が廃止された1987年9月に開館

幌内線の支線である三笠~幌内(2.7km)は、1882(明治15)年11月13日 に官営幌内鉄道によって開通しました。一時は旅客営業も行っていましたが、1972(昭和47)年11月1日に廃止され貨物支線になりました。1987(昭和62)7月13日 に、幌内線全線が廃止されるも、同年9月6日に北海道の鉄道発祥を記念して幌内駅跡地に「三笠鉄道記念館」が開館しました。

動輪をイメージしたエントランスのオブジェ

記念館の1階に北海道の鉄道の歴史に関する資料や実際に使われていた制服、SLの部品や信号機などを展示。2階はミニシアターで在りし日の幌内線や、北海道の鉄道の歴史を上映したり、有料でHOゲージ模型を運転することができます。キッズのためにプラレールコーナーも設置。鉄道に関する書籍や古い時刻表も閲覧できるなど、幅広い年代が楽しめます。

さまざまな車両が展示される鉄道遺産の宝庫

北海道で活躍した懐かしい列車が勢ぞろい

敷地内には気動車やラッセル車など、北海道になじみ深い車両を展示。ディーゼル機関車はDD51やDE10など主力として活躍した車両だけでなく、おもにヤード構内で使用されていたディーゼル機関車も揃い踏みしています。

旅情を盛り立てる食堂車を改造したレストラン

キハ80形の食堂車、キシ80が「キッチン・ポロナイ」として使用されています。北海道では、「おおぞら」「北海」「北斗」「おおとり」「オホーツク」に連結されていました。

機関庫に保管される車両たち

機関庫に「DD13」「9600形」「C12」「ED76」を保存
59609

9600形は大正時代に製造され、13年間で国内用に770両が製造されるほか、細部の異なる準同形機80形9両が樺太庁鉄道用に製造されたと言われています。展示車両は1976(昭和51)年に廃車されるまで、幌内線や室蘭本線で石炭輸送を担っていました。

C12 2

C12は1932(昭和7)年から1947(昭和22)年に製造されました。展示車両は会津若松機関庫を皮切りに東北や新潟で貨物や客車を牽引し、北海道では函館機関区や追分機関区を経て、1969(昭和44)年に、苗穂工場入れ替え線用車両として役目を終えました。札幌市円山動物園で展示されたのちに三笠鉄道村に移管されています。

ED76

ED76は1965(昭和40)年から1979(昭和54)年までに139両が製造されました。最初に九州に配置され、1968(昭和43)年に北海道地区の電化開業用として500番台が開発されました。北海道内の電化区間及び青函トンネルなどで活躍しましたが、客車の減少と共にED76も姿を消します。全線非電化だった幌内線の跡地に電気機関車が展示されているのも不思議な感じです。

SL「S-304」に乗車

青空に黒煙が上がる

静態保存されている車両が多い中、S-304は唯一の「人を乗せて走れる機関車」です。1939(昭和14)年に、当時の日本製鉄輪西製鉄所(室蘭市)向けに製造されたC型タンクの産業用蒸気機関車です。

2019年に誕生80年が祝われた

新日本製鉄室蘭工場や鐵原コークス室蘭工場(現テツゲン)で使用されていました。共に働いたS-205は室蘭市内に静態保存されていますが、S-304は80歳を過ぎた今も現役。「テツゲン」の文字を誇らしげに掲げ、週末や祝日には、お客さんを乗せて約400mの距離を力強く走行しています。

本物のSLに300円で乗れるヨロコビ

乗車料金は1回300円。高らかに汽笛を鳴らして30分おきに出発しています。客車はトラ49456とトラ53095を改造して使用しています。煙を吐いて歩みを進める姿はSLならではの迫力。大人も子供も興奮せずにいられません。

線路はトロッコ鉄道に使用される予定

記念館の道をさらに進むと道路右側に線路が確認できます。通常は炭鉱閉山と共に鉄道が役割を終えることが多いですが、幌内炭鉱は幌内線廃止後に閉山されました。三笠市では「三笠ジオパーク」として石炭を輸送した産業鉄道と、その歴史を観光に活かす活動を行っています。遊歩道が整備されていますので、旧幌内炭鉱施設も見学してみてはいかがでしょうか。

三笠鉄道村展示車両

動態展示
S-304(C形タンク機)、コトラ149456、コトラ153095

機関庫内展示
C122、59609 、ED76505、DD13353

屋外展示
DD51610、オハフ33451、スハフ4412、 スユニ50505、キハ2252、キハ2723、キロ26104、キハ5616、DD1517、DD141、チキ6147、ソ81、スエ3041、スエ321、DD1615、キ274、キ756、セキ6657、トラ72568、ワム66172、DE101702、排雪モーターカー510、ロータリー排雪車DL7L、坑外用8t電気機関車2両

食堂車
スハフ4520、キシ8031、オハフ46504

文/写真:吉田匡和


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