豊肥本線は復旧工事でどう変わった? 33.6パーミルの勾配標、立野駅ホーム、「もう一つ」の注目ポイント

2020.08.07

2020年7月 夏の豊肥本線

2020年8月8日(土)に全線再開を果たすJR豊肥本線。

2016年の熊本地震とその二ヶ月後の豪雨災害で被災し、肥後大津~阿蘇間(27.3km)が不通となりました。以来、JR九州は熊本県や南阿蘇村などの自治体とも協力し、4年4ヶ月にわたり復旧工事を進めてきました。

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復旧工事も完了し、7月21日には試運転を開始しました。明日8月8日には全線で運転を再開するのですが……4年以上工事を行ってきたこともあり、以前までとは変わったところもあります。今回は復旧工事取材時に気になった注目ポイントを三点ご紹介いたしますので、乗車される方は是非ご参考にしてください。

「33.6」パーミルの勾配

勾配標の数字に違和感を覚える人は相当な鉄?

「パーミル(‰)」とは、一般的には千分率のことを指します。鉄道用語としての「‰」は勾配を示す際に使われるもので、たとえば水平距離1000メートルに対して垂直距離が10メートルの勾配であれば「10‰」といった具合です。

この数字が大きければ大きいほど急な勾配となり、その険しさゆえに広く知られている区間もあります。有名どころは信越本線横川~軽井沢間の碓氷峠(66.7‰)でしょうか。国鉄・JRとしては最も急な勾配でしたが、1997年に廃止されたため、現在は飯田線の沢渡~赤木間にJR最急の座を譲り渡しています。

JR以外であれば、大井川鐵道井川線(一部区間90‰)や箱根登山鉄道(80‰)などが有名ですね。急勾配区間を持つ鉄道事業者7社による(※)「全国登山鉄道‰会」という親睦団体も存在します。

※設立時は6社、2019年3月にアルピコ交通が加入。

こうした急勾配を上るために設けられるのが「スイッチバック」です。九州のスイッチバック駅としては立野・大畑・真幸が知られていますが、中でも豊肥本線の立野駅は非常に珍しい三段スイッチバックで知られています。

ではどのくらいの急勾配を上るのか。鉄道ファンに聞くと、恐らく「33.3‰」と即答してもらえるでしょう。ところがここが復旧工事によって変わりました。写真の勾配標を見ていただけると分かる通り、現在の最大傾斜は33.6‰です。

立野駅のホームも短く

立野駅のホーム長は30m短くなった

もう一つの大きな変化はJR立野駅のホーム長。昔の写真が手元にないのでちょっと比較はし辛いのですが、乗降場の長さが従来の121mから91mと、およそ30メートル短くなりました。

かつては機関車の運用も行われていましたが、現在立野駅に乗り入れる列車は最大でも4両編成であることから、復旧工事の際に最適な列車長に合わせたホーム長にしたとのことです。

「ななつ星 in 九州」は? と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫、「ななつ星」は豊肥本線に乗り入れてこそいるものの、立野駅では運転停車のみで乗客の乗り降りはありません。

バラストやマクラギの白さに驚くかも

マクラギやバラストの色に注目

全線再開後に実際に乗車して線路を眺めてみると、バラストやマクラギの白さに気付くかもしれません。土砂とともに流されたレールを敷き直すにあたり、復旧箇所では新しいバラストを撒き直しています。

もう一つの注目ポイントは「マクラギ」です。流されたマクラギに関しては、再利用出来るものは再利用、出来ないものはコンクリートのマクラギに変更されています。特に大きな被害を受けなかったところは木のマクラギが残っていますが、たとえば立野駅乗降場から路線を眺めると二種類のマクラギが混じっているのが良く分かります。

豊肥本線の不通区間27.3kmのうち、レールを敷き直したのはおよそ10km。被災箇所は飛び飛びで、「ここからここまで直しました」という案内があるわけではありません。ただ、線路を眺めているだけで「ここを直したんだな」と視覚的に分かる箇所もありますので、再開した豊肥本線に乗車される際は是非そういったところも観察してみてください。

文/写真:一橋正浩


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