11月4日、霞が関 合同庁舎に集まった専門家や有識者と話しているなかで、こんな話題になった。

「コロナで苦戦する鉄道事業者のなかには、乗客減少にあわせて、車体更新や機材新調などの計画ペースを遅らせて、普通車をグリーン車のように改造しながら、コストをおさえつつ快適性を向上していくといった“想い”があるところもある」と。

グリーン車は、国鉄がつくった空間でいまもJRなどで使われているサービス空間。「グリーン車のような」だから、JRに限った話じゃないみたい。

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「これだけ乗客が減って収益が落ちると、鉄道事業者も(運賃以外の)ほかの事業で収益を生み出さなきゃならない」

「鉄道以外でいろいろ手がけて話題の、千葉にある民鉄を、中小や大手の鉄道事業者はこれまで遠目に見ていたけど、もはや同じ気持ちじゃないか」

「コロナ禍で朝夕列車の混雑率が下がり、止められない高齢化もあって、着席サービスをどう収益化するかを、事業者と話したことがある」

会議後、廊下でこんな話を聞いているときに出てきたのが、「普通車を改造した着席サービス車」の話。

「たとえば中央線のグリーン車導入は、もちろんコロナ前から計画されていたから、これまでの混雑率を含めて既存10両に2両のグリーン車を追加し、普通車の容量を狭めないやり方だった」

「それが、ここまで乗客が減ると、『既存10両のうち2両を着席サービス車に改造して、利用料で収益化を図る』といった想いも出てきている」

―――確かに、利用者が減ってるなかで、編成両数を増やして新たなサービスを生むなんて考えはもはやないだろうし、逆に列車回数を減らす事業者があるぐらいだから。

新型車をつくる予算も小さくなっていくなか、安全も走りも、乗り心地も、“更新”でトレンドにあわせていく……そんな風を感じた霞が関での雑談だった。