整備推進市町村会議が誘致活動を主導

東京で開催される「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」総会。2020年はコロナ禍で見送られましたが、2021年は開催の予定です。(写真:山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議)

山陰の地元で、新幹線誘致の旗を振るのが「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」。大阪、京都、山口、島根、鳥取、兵庫、福井の2府5県約50市町村がメンバーに名を連ねます。2020年11月14日付「鉄道チャンネル」掲載記事で、「四国新幹線」をご報告させていただきましたが、山陰新幹線と四国新幹線の違いは、四国が経済界挙げて誘致を目指すのに対し、山陰は自治体が主導する点です。

市町村会議は毎年、総会を東京で開催し、中央へのアピールを狙いますが、現状では四国の方が一歩リードのようにも見えます。ただ、現実的には「四国新幹線は着工、山陰新幹線は見送り」はおそらくないでしょう。仮に一方だけ着工すれば、もう一方の地元から猛烈な反発が来ますからね。

収支採算性試算では十分に元が取れる

さて、山陰新幹線はどのように整備されるのか。四国新幹線のコラムで「単線新幹線」を紹介しましたが、山陰新幹線も単線が有力な整備手段と考えられます。市町村会議の資料によると、鳥取まで単線整備(建設)した場合、建設費6900億円で、整備効果は開業10年目で1兆4300億円(GDP増加額)。人口は鳥取県で4万4000人、島根県で1万7000人増えるとします。誘致側の試算なので少々の割り引きが必要かもしれませんが、いずれにしても十分に元は取れる計算です。

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市町村会議は、全線複線フル規格での整備効果も試算します。現在の整備新幹線は最高設計時速260kmで、同格の新幹線とすると鳥取までの建設費9000億円、整備効果1兆7200億円になります。