「ノス鉄」はコロナ禍だからこそ生まれた

ここで改めて「ノス鉄」第1弾のラインナップ車両を見てみましょう。全て車輪が2つしかない2軸の車両です。これも現代の車両ではほぼ見られない特徴になっていますが、なぜあえて2軸の車両を選んだのか。企画担当者によると3つの理由があるといいます。

車輪が2つしかなく非常に短い2軸車両。

1つ目は省スペースでも遊べること。新型コロナウイルスの影響で在宅の機会が増えている家庭が多くなっており、自宅で鉄道模型に触れることができる機会も増えています。しかし、特に子どもがいる家庭では、なかなか部屋中に線路を広げて長編成を走らせることは難しいもの。だからこそ、省スペースで展開できる「ミニカーブレール」を活用して、気軽に遊べるように開発したとのこと。

2つ目は猫屋線シリーズで人気のダブルルーフ客車やオープンデッキ客車を、Nゲージでも開発したいとの思いがあったこと。1/80ナローのスケールで人気があるということは、Nゲージサイズになればより多くの人に気軽に手に取ってもらえることにもつながりますね。しかも車体は小型なので、ミニカーブレールでも難なく遊べます。

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3つ目はトミーテックだけでもできる取り組みを優先したこと。コロナ禍の影響で、製品監修のやり取りをする鉄道会社の担当者が、テレワークのため出社していないことも。そうなると鉄道会社と連携が取りにくくなってしまうため、トミーテックが単独でできることに注力するという流れになりました。その上で、かねてよりリクエストのあった「古い車両」という要素を取り入れた結果が「ノス鉄」です。

2軸車両動力ユニット「TM-TR07」を組み込めば、省スペースでも走らせて遊べる

まとめると、「ノス鉄」第1弾に2軸車両が選ばれた理由としては、増えた在宅時間を活かして省スペースで遊べる、猫屋線シリーズの経験をNゲージにも活かす、コロナ禍での制約の中でもできることに注力する、この3点になります。「ノス鉄」はコロナ禍だからこそ生まれたと考えることもできるでしょう。

「ノス鉄」発売後は、通常の「鉄道コレクション」シリーズと「ノスタルジック鉄道コレクション」とで製品展開にも変化が起こるかもしれません。また、今までのようにイベント会場で鉄道会社の事業者限定品が販売される機会も減ってしまったことで、鉄道コレクションとしても今は時代の変わり目にあるところでしょう。

それでも、比較的安価で手に取りやすく、たまにマニアックな車両が登場するということで、鉄コレのブランドは確立されてきました。その上で、企画課長からは「鉄コレは形を変えて自由なところに入っていくという緩い感じになっている。時代に応じて形を変えていく」とのコメントも。

最後に、「ノスタルジック鉄道コレクション」発売にあたりひと言お願いしたところ、企画担当者からは「初回受注の結果は予定より良かったので一安心しています。あとは皆さん遊んでください。売れれば続きます(笑)」と前向きなコメント。企画課長からは「これはと思って(好みに)刺さってもらったなら、買っていただいて楽しんでいただけるといいかなと思います」と、鉄道コレクションの原点回帰にあたり意欲的なコメントをいただきました。

小さな電気機関車・ディーゼル機関車・客車を、自宅で気楽に楽しもう

おうちで楽しむ鉄道趣味に「鉄コレ」を

これまで展開されていた「鉄道コレクション」シリーズの特色である、安価で手に取りやすく、それでいて時々アッと驚くマニアックな車両が登場する点を維持しながら、今では見られないような古い車両をゆるーく楽しめる「ノスタルジック鉄道コレクション」。企画のエピソードを聞けば聞くほど、製品化発表のポスターで発表された「原点回帰」という言葉が良く似合いますね。

新型コロナウイルスの影響で、在宅の時間が増えたことは確か。自宅でも楽しめる鉄道趣味のきっかけに「鉄道コレクション」および「ノスタルジック鉄道コレクション」があると、懐かしい雰囲気の鉄道模型を気軽に遊べることでしょう。

文/写真:若林健矢
※一部写真はトミーテック、鉄道チャンネル編集部提供