北陸新幹線延伸で変わる福井の地方鉄道 福鉄とえち鉄が相互直通で利用促進 交通まちづくりも進む【取材ノートから No7】

2021.09.05

鉄道需要を掘り起こす、えち鉄の新駅

福鉄とえち鉄の利用客数。本稿で紹介した両社の相直開始後も一貫して増え続けてきましたが、2020年度はさすがにコロナの影響を受けました(画像は「人と環境にやさしい全国大会in滋賀」の発表から)

最後はもう一度、取材ノートに戻って、全国大会in福井で発表された新駅の開業効果。えち鉄は、2007年に「日華化学前」と「八ツ島」、2015年9月に三国芦原線の福井口―西別院間に「まつもと町屋」を開業しました。

まつもと町屋駅の利用動向を調査したのは、福井工業大学と福井大学の合同チーム。周辺住民約700人を対象にしたアンケート調査では、新駅利用者の7割強が「今まで福井口駅または西別院駅を利用していた」と回答したものの、「新しく鉄道を利用し始めた」も3割弱あり、新駅が鉄道需要の掘り起こしに一定の効果を挙げることが判明しました。

新駅のある福井市松本地区は、市内中心部から2.5キロほど北方。福井口―西別院間は1.6キロあり、周辺住民が新駅開設を要請。自治体の助成も活用しながら、単線の線路にホーム1面という簡素な構造の駅を開設しました。

新駅開業前に鉄道を使用していたのは192人で、乗降駅は福井口100人、西別院92人。新駅開業で福井口利用者のうち82人、西別院は68人が、まつもと町屋駅に切り替えました。さらに、「従来は余り鉄道を使っていなかった」と回答した、新規需要も59人ありました。

新駅に対する見方で、最も回答が多かったのは「地区の新しいシンボル」で、以下「地区の新しい発信源」、「外出時の便利さ」、「新駅駅前の明るさ」の順。新駅で一般的に考えられる通勤通学の便利さより、地域のシンボル性を評価する声が多かったのは、地域の人たちが鉄道を単なる移動手段という以上に見ている証拠のように思えます。

文:上里夏生


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