北陸新幹線延伸で変わる福井の地方鉄道 福鉄とえち鉄が相互直通で利用促進 交通まちづくりも進む【取材ノートから No7】
田原町駅にえち鉄と福鉄の連絡線を整備
えち鉄と福鉄は元々、田原町駅で接続していましたが、線路はつながっていませんでした。そこで福井市が主導して、両社をつなぐ連絡線を整備して実現したのが、2016年春の相直です。相直区間は福鉄越前武生~えち鉄鷲塚針原間の26.9キロ。実施にあたっては、田原町、八ツ島、鷲塚針原などえち鉄6駅に低床ホームを整備しました。
えち鉄ホームは鉄道用で高く、路面電車の福鉄が乗り入れるには低床ホームが必要でした。さらに信号・電気設備を改修、車両は福鉄がLRV(ライトレールビークル=LRTの車両)2編成を導入しました(その後、えち鉄もLRVを導入)。
相直で利用客は2.9倍に増加
全国大会in福井当時のデータになりますが、相直区間の利用客数は2016年4~9月の半年間で延べ6万2900人(乗車券、回数券、定期券の発売枚数から推計)で、2015年同期比2.9倍に増加しました。
福井が、全国トップクラスの〝マイカー王国〟という現実は変わらないものの、福鉄とえち鉄は福井市内の公共交通機関としての存在感を増しています。
福井駅前に乗り入れた福鉄
相直と並ぶ、福井市中心部の鉄道プロジェクトが福鉄の延伸です。記事冒頭の図をご覧いただきたいと思いますが、福鉄は福井城址大名町から分岐してJR福井駅前に乗り入れる〝ひげ線〟のような線形です。ひげ線の通称は駅前線。2016年3月に完成したプロジェクトでは、ひげ線を駅前広場まで143メートル延伸しました。
距離的にはわずかですが、福井駅西口広場には福鉄のほか、JR、バス、タクシーなどの交通機能が1カ所に集積され、乗り換え利便性が大幅に向上しました。