J-TRECは3Dメガネでサスティナを魅せる

3Dメガネでセミナーを聞く総合車両製作所のブース来場者。ブースは黒を基調にまとめられました

鉄道技術展には主要鉄道車両メーカーがそろってブースを構えました。駆け足ですが、各社の展示内容を報告しましょう。

JR東日本グループの総合車両製作所(J-TREC)は、次世代ステンレス車両「sustina(サスティナ)」の開発コンセプトなどを、立体映像の3Dメガネを使って披露しました。JR東日本のE235系電車やE131系電車、相模鉄道の12000系電車、京浜急行電鉄の1000形電車(20次車)、地方鉄道でも静岡鉄道のA3000形電車やしなの鉄道のSR1系電車でおなじみになったサスティナは、海外でもタイ・バンコク都市鉄道のパープルラインに続き、フィリピンの南北通勤鉄道で採用されるなど世界を駆けめぐります。

J-TRECはサスティナの特徴として、基本仕様共通化によるコストダウンとともに、障がい者や高齢者を含むすべての人が利用しやすいユニバーサルデザイン(UD)採用などを挙げます。会場では、共通基盤を簡素化して、従来以上のコスト削減に踏み込んだサスティナ新シリーズの発表もありました。

近車はデザインを重視

近車ブースではプラスチックケースに収めた車両模型が展示されていました

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続いては、技術展では前回コラムでご紹介した「レイルウェイ・デザイナーズ・イブニング(RDE)」常連の近畿車輛(近車)。大阪府東大阪市に本社を置く関西の車両メーカーで、JR西日本の北陸新幹線・W7系車両、同社の87系寝台気動車(周遊型寝台列車のクルーズトレイン「瑞風」としておなじみですね)といった関西をベースとする鉄道事業者の車両を製作。関東でも東京都交通局の6500形電車、東武鉄道の70000系電車などが近車製です。

近車は特に車両デザインに力を入れ、新幹線でも観光列車でも普通電車でも、どこかスタイリッシュです。通勤電車のデザイン面のこだわりの一つが、ドア部とシートを区切る袖仕切り。一部を強化ガラスにして、車内の見通しがきくように工夫します。透明な袖仕切りの車内は、開放感を演出します。

日車は状態監視技術や新台車をお披露目

技術展には、鉄道車両界の名門・日本車輌製造(日車)も出展しました。日車の新ブランドは「N-QUALIS」(エヌクオリス)。次世代の新機軸を搭載した車両で、目玉は状態監視技術とNS台車です。

状態(常態)監視は本サイトでも何回も紹介させていただきましたが、車両にセンサーを取り付けて、車体や線路の状態を常時チェックします。構造を簡素化したNS台車は、車両保守を省力化します。