「鉄道技術展2021」に見た鉄道の未来(後編) 脱親会社のJRグループ企業 大手車両メーカーの戦略は ドイツ生まれのスマート分岐器に注目【コラム】

2021.12.18

盛況だった「鉄道技術展2021」会場全景。入場時の検温、展示ブースでのソーシャルディスタンスなど十分な感染拡大防止策が取られました

2021年11月24~26日に千葉市の幕張メッセで開かれた、「鉄道技術展2021」の連載コラム最終回です。今回は、私が会場内を回って出展企業や団体を取材する中で思い付いたことを、雑感風にまとめました。

振り返れば2020年初からのコロナ禍で、鉄道業界は大きく揺れ動いたわけですが、苦境からの脱出口を探るのが今回の技術展の隠れた目的だったのかもしれません。ここでは、「親会社依存を抜け出すJRグループ企業」、「主要鉄道車両メーカーの戦略は」、「ドイツのスタートアップ(ベンチャー)企業がスマート分岐器をプレゼン」の3つのテーマを設定。何がどう変わりつつあるのか、ポイントをかみ砕いて紹介できればと思います。

JRや私鉄の鉄道事業者はバイヤー

最初に鉄道技術展の立ち位置を再確認します。新しい鉄道技術は、多くがJRグループや私鉄、公営鉄道といった鉄道事業者から発表されます。しかし、技術展の出展者に事業者はほぼ見当たりません。

鉄道は機械(車両、運転)、電気(電化、信号通信)、施設(建設、保線)といった個別技術の組み合わせで成り立ちます。そうした個別技術、パーツとしての技術を提供するメーカーが出展するのが技術展。JRや私鉄は出展者の技術を組み合わせて、新しい車両やサービスを生み出します。事業者は、基本的にバイヤー(買い手)の立場で技術展に参加します。

JR西日本グループとJR九州グループがそれぞれ共同ブース出展

優れた鉄道システムが本体とグループ一丸になった技術で成り立つことをアピールしたJR西日本グループのブース

ここまで書いたことと若干矛盾しますが、今回はJR西日本とJR九州が出展しました。といっても本体の参加はなく、JR西日本グループのJR西日本テクノス、広成建設、JR西日本テクシアなど、JR九州グループのJR九州システムソリューションズ、JR九州エンジニアリング、JR九州コンサルタンツなどがそれぞれ共同ブースを構えました。

社名にJR○○と付く会社は通常、JRが外注化した仕事を請け負います。JR西日本テクノスならJR西日本の車両検修(鉄道以外であまり使わない業界用語ですが、読んで字のごとく検査と修繕です)、JR九州システムソリューションズならJR九州のシステム開発や保守が主な役目です。

JR九州グループブースは出展企業の展示物を横一列に並べ、お目当ての技術を見つけやすくする工夫が凝らされました

受注先がJRなので、一定量の仕事はあるわけですが、コロナで親会社の売り上げは減っている。そこで子会社も親以外の受注先を見つけて、自分たちで稼がねばならない。「コロナで厳しくなった親を助けようと、子どもが新しい仕事先を探すことにした」といえば、多少なりご理解いただけるでしょうか。

もう一つの目的はリクルート。少子化の波は、鉄道業界にもしのび寄ります。保線や車両検修は、きつい、汚い、危険の〝3K作業〟という誤解を受けがち(そういえば最近、このフレーズをあまり耳にしませんね)。会場には、鉄道業界を志望する学生を意識したリクルートコーナーも設けられました。

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