東海道新幹線や東京モノレールの車両基地を車窓から

首都高湾岸線から間近に見られるのが、JR東海の東海道新幹線大井車両基地やJR貨物の東京貨物ターミナル駅。もう一つ、羽田空港の近くには東京モノレールの昭和島車両基地もあります。

工場や物流倉庫も同じですが、臨海部なら広大な土地を確保できる。東京湾岸は、首都圏鉄道の〝自宅兼オフィス〟といったところでしょうか。

そんなことを思ううち、バスは川崎に到着。川崎の工業地帯は扇島、水江町、千鳥町、浮島の4地区を、バスで2時間ほどかけてゆっくりと回ります。

モニターツアーに定員の17倍の応募者

プラントの夜景。なぜか高層ビルかマンションのように見えてしまいます(筆者撮影)

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ここで途中休憩をいただき、川崎の夜景観光がなぜ人気を集めたかを考えます。以前の取材で、ある工場夜景ファンは「工場の明かりは、当然ながらライトアップされたものでない。工場の機器類やパイプ類は規則正しく配置され、〝造形美〟と呼ぶのにふさわしい。季節に連れて表情を変えるのも、工場夜景の特徴。夏がダイナミックなら、冬はSF的な幻想を感じさせる」と語ってくれました。

地元の川崎市も、当初は工場夜景観光がモノになるとは考えていませんでした。ふた昔前の川崎は、〝公害都市〟のネガティブなイメージもありました。そんな殻を打ち破ろうと2008年、試行的に実施した工場夜景モニターツアー。募集45人のところ767人もの応募があり、川崎市の観光関係者は成功を確信したのです。

煙突から時おり炎が吹き上がる「フレアスタッグ」。可燃性の余剰ガスを燃やして大気汚染や悪臭を防ぎます(筆者撮影)