石破、前原両氏、談論風発

熱く語る石破さん。かつての山陰筋は「携帯圏外」のエリアも多く、「圏外だと電話も来ないのでリラックスできた」と回顧しました

続くはJAMのハイライト「令和鉄道放談」。鉄道ファンとして知られる石破茂、前原誠司の両衆議院議員が、鉄道へのこだわりを披露しました(政府や党の要職を歴任されたお二人ですが、本コラムはフラットに「さん付け」で紹介します)。

石破さんは、山陰特急「出雲」の乗車回数1000回以上。電車特急「サンライズ出雲」になる前のブルトレ時代です。きちんと数えたわけでなく、地元・鳥取県と東京の間を多い時は週4で往復していたので、「そのくらいは乗っているはず」という数字です。

前原さんはご存じの方も多いと思いますが、「SLを形式でなく番号で語る男」。例えば、C57なら「C57 160」を追い続けます。鉄道趣味は〝撮り鉄〟(ほかに鉄道模型も少々)。小学生時代、1週間にわたって九州のSLを撮り鉄した話には、ファンも目を丸くして聞き入りました。

「出雲」の食堂車で武勇伝

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お二人からは興味深い話がたくさん飛び出したのですが、ここではワンポイントずつご報告します。石破さんは、ブルトレ「出雲」での武勇伝。乗車していると呼び出しが掛かります、「食堂車で◯◯団体の方がお待ちです」。地元関係者との情報交換も政治家の大切な仕事。ただ「泥酔し過ぎで、財布をなくしてしまったことも」と苦笑していました。

新宮でEF58、DF50を撮る

令和鉄道放談に参加した前原さん。会場では自ら撮影したSL最後の雄姿を映写・披露しました

1975年に国鉄が無煙化されると、前原さんの興味はSLからEF58とDF50に移りました。「両方の機関車が撮れる撮れる駅って分かります?」。正解は紀勢線新宮駅です。

地元・京都からの移動にはもっぱら夜行「はやたま」を利用しましたが、車内ではなかなか熟睡できません。「列車の乗客の多くは釣り愛好家。途中駅で起こされるんです」。

「乗りたくなるサービス」「鉄道の残し方を話し合う」

令和放談からもう少々。鉄道150年の今年ですが、鉄道業界から聞こえてくるのは明るい話ばかりでありません。

石破さんは、「列車旅で楽しいのは①食事、②景色、③ローカルな雰囲気――の3つ。ある鉄道会社は豪華観光列車で事前に乗客の希望を聞き、可能な限りリクエストされた地点でゆっくり走るようにしているそう。鉄道会社の経営は厳しいが、創意工夫の余地はあるはず。乗ってみたくなるサービスで、鉄道が社会的な存在価値を高めるように期待している」と発言しました。

国土交通大臣のキャリアも持つ前原さん、「今のJRローカル線の経営状況は、ひょっとしたら国鉄末期より厳しいかもしれない。鉄道会社と地元の話し合いでは、お互いが知恵を出し合い『鉄道の残し方』、『地域公共交通の確保の仕方』を見つけ出してほしい。ファンの皆さんも関心を持ってもらいたい」と期待を託しました。

令和鉄道放談は、多くの立ち見が出る人気。鉄道ファンの視点を持ったお二人の発信力に、今後も期待したいところです。