「最近乗車したのはJR留萌線」

ツアーでは旧坂戸駅付近の線路跡地が特別公開され、参加者が約1キロにわたる廃線跡ウォークを楽しみました

ここでツアー参加者の声。多くがベテラン鉄道ファンという中で、目に止まったのが小学生ファミリー。「最近乗車したのは、北海道のJR留萌線。本当は三江線も乗りたかったんですけど、行けなくて残念」と、熱心なローカル線ファンのお父さん。

本当は奥さんも連れて3人で旅行したいそうですが、乗り鉄だけだとお母さんは行きたがらないことも。その点、関鉄のツアーは茨城空港見学が行程に組まれ、鉄道に興味半分のお母さんも無理なく参加できます。こんなところにも、旅行会社が組む鉄道ツアーのメリットがありそうです。

もう1人、お話を聞かせていただいた単独女性は横浜からの参加。「自称鉄道ファンですが、好きなのは美しい景観を走る列車。北海道はほぼ全線をめぐり、なかでも花咲線(JR根室線釧路―根室間)に魅せられました」。本コラムをご覧の方にもうなずかれる方、いらっしゃるかもしれません。

保存団体の努力に敬意

レポートは以上ですが、同行取材で感じたのは廃止後16年を経過したかしてつが、今もきちんと丁寧に保存されていることです。昔の鉄道を取り上げる際、JRや大手私鉄はさておき、地方鉄道では保存車両がなくて紹介に困ることがあります。

その点、かしてつの歴史をたどれるのは、加藤代表や諸岡病院長、そして鉾田駅保存会、関係団体のメンバーの皆さんの日ごろからの努力があるからです。

「鉄道車両は、役目を終えたら解体される単純な機械ではなく貴重な文化資源」――そんなことを考えながら、かしてつ沿線を後にしました。

かしてつの線路敷き跡地のうち石岡駅―旧四箇村駅間5.1キロはバス専用道に整備され、路線バスの定時運行に効果を発揮します

記事:上里夏生