2007年に廃止された「かしてつ」の足跡たどるツアーに同行 往年の名車、今も健在【レポート】
北海道や富山からかしてつへ

続いて、小美玉市の「鹿島鉄道記念館」へ。今回のツアーのハイライトです。個人所有施設のため、通常は非公開ですが、ツアーのために特別公開されました。
展示されるのは、キハ714、キハ431、KRー501の3両。キハ714は1953年製、キハ431は1957年製で、全国の鉄道が動力近代化を進めた時期に重なります。
キハ714は北海道の夕張鉄道から、キハ431は富山県の加越能鉄道からの譲受車。2両とも前面は、鉄道ファンおなじみの「湘南タイプ」です。国鉄湘南電車(80系電車)のインパクトは、相当に強かったのでしょう。
KRー501は1989年製。ほっとパーク鉾田で書き忘れましたが、新製時から冷房付き。車内はセミクロスシートでした。
テレビ番組でかしてつを知る
鹿島鉄道記念館を運営するのは「鹿島鉄道保存会」。記念館オーナーである薬剤師の加藤三千尋代表は東京在住で、複数の会社を経営します。たまたま視聴したテレビ番組で、沿線中高校生による応援組織「かしてつ応援団」を知り、自らも鹿島鉄道の存続運動に加わりました。
館内にはヘッドマーク、走行写真など貴重な資料が500点以上。90分の見学時間があっという間に過ぎてしまうほどの展示ボリュームでした。

かしてつ運転士役でスクリーンデビュー
ラストはキハ431の兄弟車で、同じ加越能鉄道からやってきたキハ432が保存される小美玉市の小川南病院。屋外展示ながら、3年に一度再塗装するそうで、丁寧に保存されている様子が分かります。


諸岡信裕病院長は茨城県出身で、金沢大学医学部に進学。「北陸からやってきた気動車がスクラップになるのは忍びない」と、病院の高齢者施設での保存を決断しました。
余談ですが、石岡には1964年から17年間、国鉄石岡駅に通い続けた、まるで東京の忠犬ハチ公のような「石岡タロー」の実話があり今年、実写で映画化されました。
映画は2023年7月29日に石岡市内でプレミアム試写会の後、全国上映を予定します。映画のフィルムパートナーズは2023年4月3日から、映画の配給・上映資金をクラウドファンディングで募集中。作品には、諸岡病院長もかしてつの運転士役で俳優デビューしました。ご興味ある方は、「石岡タロー」で検索してみてください。