北海道や富山からかしてつへ

鹿島鉄道記念館の説明会場はキハ431の車内。キハ714、キハ431、キハ432の3両は側面窓上部が固定式のいわゆる「バス窓」です

続いて、小美玉市の「鹿島鉄道記念館」へ。今回のツアーのハイライトです。個人所有施設のため、通常は非公開ですが、ツアーのために特別公開されました。

展示されるのは、キハ714、キハ431、KRー501の3両。キハ714は1953年製、キハ431は1957年製で、全国の鉄道が動力近代化を進めた時期に重なります。

キハ714は北海道の夕張鉄道から、キハ431は富山県の加越能鉄道からの譲受車。2両とも前面は、鉄道ファンおなじみの「湘南タイプ」です。国鉄湘南電車(80系電車)のインパクトは、相当に強かったのでしょう。

KRー501は1989年製。ほっとパーク鉾田で書き忘れましたが、新製時から冷房付き。車内はセミクロスシートでした。

テレビ番組でかしてつを知る

鹿島鉄道記念館を運営するのは「鹿島鉄道保存会」。記念館オーナーである薬剤師の加藤三千尋代表は東京在住で、複数の会社を経営します。たまたま視聴したテレビ番組で、沿線中高校生による応援組織「かしてつ応援団」を知り、自らも鹿島鉄道の存続運動に加わりました。

館内にはヘッドマーク、走行写真など貴重な資料が500点以上。90分の見学時間があっという間に過ぎてしまうほどの展示ボリュームでした。

鹿島鉄道記念館に展示される行き先標や駅名標

かしてつ運転士役でスクリーンデビュー

ラストはキハ431の兄弟車で、同じ加越能鉄道からやってきたキハ432が保存される小美玉市の小川南病院。屋外展示ながら、3年に一度再塗装するそうで、丁寧に保存されている様子が分かります。

小川南病院に展示されるキハ432。車両は幅2.73メートルで、一般の鉄道車両(一例で国鉄103系電車は2.87メートル)に比べてやや細身です
キハ432の台車は徹底して軽量化を図ったTS102Aで部材を組み上げたシンプルな構造です

諸岡信裕病院長は茨城県出身で、金沢大学医学部に進学。「北陸からやってきた気動車がスクラップになるのは忍びない」と、病院の高齢者施設での保存を決断しました。

余談ですが、石岡には1964年から17年間、国鉄石岡駅に通い続けた、まるで東京の忠犬ハチ公のような「石岡タロー」の実話があり今年、実写で映画化されました。

映画は2023年7月29日に石岡市内でプレミアム試写会の後、全国上映を予定します。映画のフィルムパートナーズは2023年4月3日から、映画の配給・上映資金をクラウドファンディングで募集中。作品には、諸岡病院長もかしてつの運転士役で俳優デビューしました。ご興味ある方は、「石岡タロー」で検索してみてください。

次ページ「最近乗車したのはJR留萌線」