185系臨時列車がJR成田線を走った!広島発成田経由銚子行きの1000キロ超えツアー 銚電100周年記念の「バトンリレー号」に同乗取材【レポート】
2期連続で最終黒字
ここから本題の銚電100周年。山あり谷ありの歴史は、本サイトなどで語り尽くされています。1913年に銚子―犬吠間が開業したものの、業績不振で1917年に廃止された銚子遊覧鉄道を前身に、地元有志の手で会社を設立。旅客のほか、貨物も海産物や特産の醤油を輸送しました。
マイカー普及や少子化で2000年代初頭からは何回もの経営危機に見舞われましたが、ぬれ煎餅やまずい棒などのヒット商品を生み出して、経営を立て直しつつあります。
銚電は2023年6月30日、走る電車内で定時株主総会を開催。2021年度、2022年度と2期連続で最終黒字を計上しました。
地方鉄道と積極的に相互交流
もう一つ、銚電の取り組みに地方鉄道との積極交流が挙げられます。竹本社長は話上手。「電車屋なのに自転車操業」、「まずい棒、まずいのは経営状況」といった自虐ネタは、多くの地方鉄道に共感を呼びます。
ひたちなか海浜鉄道(茨城県)、えちごトキめき鉄道(新潟県)など姉妹鉄道の輪を拡大。広電とのリレーイベントも、銚電が広電のイベントに参加したのをきっかけにアイディアが生まれました。
この日、広電の手で広島市内を出発したバトン代わりのタブレット(通票)は、広島空港で広電の椋田昌夫社長から、広島―成田線に就航するLCCのスプリング・ジャパンの米沢章社長に、次いでJR成田駅で米沢社長からJR東日本の土澤壇執行役員・千葉支社長に、さらに185系が到着したJR銚子駅では土澤支社長からアンカーを務めた、銚電の竹本社長へとつながりました。
犬吠駅での到着セレモニーでは、4社代表が「これからも相互協力して、鉄道・公共交通ネットワークを盛り上げたい」(土澤JR千葉支社長)などとアピールしました。
硬券名刺、ぬれ煎餅入りチーズパン……
100周年を迎えた銚子電鉄は話題満載。2023年4月以降では、「乗車券付き硬券名刺」、「チーズパン(銚子電鉄のぬれ煎餅入り)」、「あなたのコメントを中吊り広告に」、「飲む、ぬれ煎餅プロテイン」、「世界初のきっぷ専用ポケット付きシャツ」といった新製品や新サービスが続きます。いずれも、専門企業とのコラボで生み出されました。
竹本社長は最後に、「当社が目指すのはリニアモーターカーならぬシニアモーターカー。浮上はしないけれども、地に足を付けて地域やファンの皆さんに愛され続ける鉄道をつくり上げたい」とコメント。自称、“日本一のエンタメ鉄道”らしいセリフでイベントを締めくくりました。
次いで、竹本社長は9日の「銚電まつり」で、新車投入を発表しました。詳細はこれからですが。ファンは期待して待ちましょう。
記事:上里夏生
(写真は全て筆者撮影)
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